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はいいろ。《後悔》【灰崎 祥吾】 ページ27

大人になって、僕が今思い浮かべる弟の姿は、

幼い頃の記憶の底にある、別れたあの日の姿のままだ。



父によく似た姿を思い出す度に、今でも僕は、

背を向けた、あの日のことを後悔し続ける。






父が、母と自分と弟を残して、死んでしまったのは、

弟の記憶にすら残っていない、彼が二歳のときのことだ。



放課後、弟を保育園に迎えに行き帰宅すると、

父がリビングで首を吊っていた。



それを目撃してしまったとき、

自分の中で何かが壊れる音がする。



どうして家族を残して逝ってしまったのか。

何故、自分たちは最愛の父の助けになることができなかったのか。



胸の中に次から次へと湧き上がる疑問に答えなど見つかるはずもなく、

自らの無力さを痛感し、

最愛の父への想いは絶てず、

当たり前だと思っていた日々が、

何事にも変えられない幸せだったのだと思い知る。



今になっても原因の分からない父の死が、

僕と弟の運命を変えたのは言うまでもないだろう。



ただ、残された母は腐ることも潰れることもなく、

懸命に僕と弟を愛してくれようとしたし、

経済的に苦しむことの無いよう、

今まで以上に仕事に力を入れていた。



その結果、僕と弟の関係が『家族』とは言えないようなものに、なってしまったのだが。



けれど、そんなことは、幼い自分には理解出来ず、

思春期という大人への階段を登ろうとしていた僕は、

最愛であったはずの弟すらを拒絶して、

殻の中に閉じこもってしまったのだ。



失うことを恐れ、

世界を拒絶し、

性格すら捻じ曲げて、

悲劇の主人公のように。


独りに。






弟に背を向けたあの日から七年。

重ならなかった未来の先で、

彼は今、どんな風に生きているのだろう。



遠く離れた寒空の下、今でも僕はそんなことを思うのだ。






罪と後悔に縛られたままで。

はいいろ。《愚者》【灰崎 祥吾】→←はいいろ。《憎悪》【灰崎 祥吾】



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設定タグ:短編集 , 黒子のバスケ , ハイキュー   
作品ジャンル:恋愛
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旋律(ばく) - うっでぃさん» そしたら送ってね笑ですね笑今は私のことを一途に思ってくれてるもんね笑笑信じてるよ!うっでぃ笑← (2018年1月5日 15時) (レス) id: 11329ddbf5 (このIDを非表示/違反報告)
うっでぃ(プロフ) - 旋律(ばく)さん» 続きはご想像にお任せしますー...笑 考えたら、また続き書くよ 笑笑 オリジナルはご察しの通りです。過去の思いだけどね!! (2017年12月16日 23時) (レス) id: f04ffde496 (このIDを非表示/違反報告)
旋律(ばく) - うっでぃさん» 続きが気になる笑笑ここからどーなるのって笑考えたらまた教えてね!笑オリジナルはあやつかな??笑 (2017年12月16日 22時) (レス) id: 11329ddbf5 (このIDを非表示/違反報告)
うっでぃ(プロフ) - フランさん» リクエストありがとうございます!時間はかかると思いますが、精一杯書かせていただきますね!! (2017年12月14日 20時) (レス) id: f04ffde496 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 男前なレオ姉書いて下さい! (2017年12月14日 0時) (レス) id: 0b24153201 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うっでぃ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年8月11日 15時

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