＃Dragon eyes…135 ページ44
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耳をつんざくような雷鳴が、米沢城一帯に響き渡った。
迸った蒼い閃光。
蒼天竜が右腕を振り上げたと同時に駆け抜けた、幾筋もの雷。
餌食となった遡行軍は、自分の身に何が起こったか理解出来ぬまま意識を手放す。
先程の彼女の攻撃で散った命よりも、さらに多くの数の命が次々に消えていくのを、松永はただ、目を細めながら眺めていた。
――そして。
「おや？...残念だな。逃がしてしまったか」
雷が止む。頭上に広がっていた暗雲が、流れていく。
松永がふと視線を戻せば、
...もうそこに、蒼い陣羽織を羽織った女の姿はなかった。
言葉とは裏腹、あまり残念そうには聞こえない声で、松永は笑みを浮かべる。
米沢城の城主との邂逅の前に、思わぬ雄との出会いだった。
彼の笑みは深くなる一方だ。
――だがお生憎さま、こちらにはまだ手勢がいる。
「卿らも、中々に手強い兵なのだな。少し見直したよ」
「「.....」」
振り返る松永の前、――雷撃から生き延びた兵士たちが首を垂れる。
仕留め切れていなかった残兵、...というには、明らかに数が多い。
松永は空を見上げる。
「...ほう」
不可思議な金色の輪が、天空に現れては消え、を繰り返している。
そこから兵が補充されていることに気づき、なるほどと首を振った。
「彼女には悪いが、...私は私のしたいようにさせてもらうことにしよう。奥州を率いる若き蕾...。梵天丸、伊達政宗に会いに行こうとする、か――」
「少し訊ねたいのだが、よろしいかな？」
「！」
朗々とした声が松永の耳に届いた。
人の気配は感じられなかった。
声がした方を振り向けば、
――流麗にして美麗。若い男が、底知れない笑みを湛えてその場に立っていた。
「...次から次へと、今日は不思議な客人が多いな。卿は何者かね？」
「はっはっはっ。名乗るほどの者では無いさ。いや何、あなたは知る由もないだろうが、こちらとしてはあなたに対し強い因縁があるものでな。つい話しかけてしまった」
「......」
平安時代を思わせる華やかな衣。青い装束に、金の武具。
そして何より、...松永が見まがう筈がない。
彼の腰に差さる、一振りの刀に、彼は小さく息をついた。
「...三日月、宗近」
何の感情も含めないまま、その名を呼ぶ。
青年は一層笑みを深め、――腰の刀を抜いた。
「俺たちはあくまで付き添いだ。"彼"に花を持たせる為にも、
...ここらで一つ、給料分の働きはせねばな」
その言葉と、同時。
計五つの影が、一斉に飛び出した。
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＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
