＃Dragon eyes…132 ページ41
・
『...じゃあ、私でどうだ』
「...うん？」
『お前に手を貸した軍勢ってのも、お前も、―――私がこの手で倒すって事だよ！！』
「「「ッ！！」」」
そう叫んだ瞬間、爆発的に辺りに広がった新たな殺気は、紛うことなき蒼天竜のものだった。
ビリッ...と一気に空気が張り詰める。
松永は驚いたように目を見開き、その背後にいた時間遡行軍たちも瞬時に警戒を強めた。
この間、実にまばたき一回分。
彼らが気づいた時、既に蒼天竜はその場から姿を消していた。
どこだ。どこに行った。
遡行軍が狼狽え、指揮系統に小さな亀裂が走ったと、同時。
「ギャッ...！」「ア"アア...ッ！」
「...！！」
刹那的な無音の空間を裂いたのは、軍の最奥部から聞こえた叫び声だった。
ドサリ。どさりドサリ。
次々に、黒い影が悲鳴を上げては倒れていく。
常人にはその残像さえ捉えられないであろう姿を、しかし松永は、確かに捉えていた。
銀の太刀筋。雪に煽られ舞う蒼の陣羽織。
「ほう...！」
楽しそうに息を飲んだ彼の瞳に映ったのは、"蒼い閃光"。
彼女の、全てを断ち切らんとする殺気は、何よりも真っ直ぐ、松永自身を貫いていた。
怯えはしない。恐怖も感じない。ただこの戦いが、ただ、楽しい。
ここまで私を楽しませてくれたのは、果たして何人目になるだろうか。
とても良い。澄み切った殺気が心地いい。
笑みを浮かべたまま、松永は伝家の宝刀に手を掛けた。
刃と刃がぶつかり合ったのは、その直後だった。
金属独特、耳鳴りを呼び起こす甲高い震えの音。
雪景色に、響き渡った。
「苛烈苛烈...！とても良い刃だ、研ぎ甲斐がある。是非とも手に入れたい太刀だな...！」
『くっ...そが...！』
この速さ、このスピードでも斬撃を防ぐか。
悔しさと己の無力さに、蒼い閃光―――蒼天竜は顔を歪めた。
松永には余裕がある。軍勢がある。
だがこちらには。
刀同士の
背後の時間遡行軍は、倒された味方に混乱を極めているようでまだ襲ってくる気配は無い。
ただ、それもいつまで持つか。
焦燥が、蒼天竜の思考を曇らせる。
それを見透いた上で、松永は未だ、笑みを絶やさない。
「だが一つだけ―――卿の刃は、迷いに曇り切っているな。殊更に残念だ」
『......！！！』
その一言。
蒼天竜の狼狽に対し、松永が刀を振り下ろさない理由が無かった。
・
＃Dragon eyes…133→←＃Dragon eyes...131
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 368人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
