＃Dragon eyes...130 ページ39
・
「敵襲ッ！敵襲ーッ！！」
「女子供をすぐに逃がせ！早急に戦支度をしろ！既に城は囲まれおるぞ！」
「敵の軍旗は蔦の紋だそうだ！」
「聞いたことの無い旗だな...新たな軍勢か？」
「敵方の兵が異形の者だという報告！こちらの兵力がどんどん削がれていっています！」
階段を下りた先。
―――先程まであれだけ静かだった場所は、喚声と人の波でぐちゃぐちゃになっていた。
もちろん、こんな緊急事態に侵入者の一人や二人、気づかれるはずもなく。
一応気配は消しながら、私は家臣たちの会話を聞いていた。
「こういう時に限って、
「若様も見当たらぬ...一体どこに行ったのやら...」
「そんなことより敵を迎え撃つ準備をせんか！！死者も出ているのだぞッ！」
『...！』
今ここに、小十郎と梵天丸はいない。
外から聞こえる喧騒は、敵襲を阻止しようとしている兵士の怒声。
そしてその敵兵は恐らく、人間ではないのだ。
時間遡行軍。...化け物。
蔦の紋は見間違いじゃなかったってことだ。
松永は、すぐそこまで来てる。
そして、時間遡行軍の凶行により死者が出てしまった今―――。
私の知る歴史は、もうない。
この戦いで死ぬはずのなかった兵士が死んだ。
それだけでも、立派な歴史改変だ。
『くそったれが...！！』
そこまで考えが行きついた瞬間。
ぱきり。
己の中で何かが壊された。
ダンッ！！あらん限りの力で床を蹴り、私は自ら広間に躍り出る。
気配も隠すも何もあったものじゃなかった。
『退け！！』
「んなっ...！？何者だ貴様は―――ぎゃっ！」
進路を塞ぐ家臣の頭を踏み台にし、
たん、たん、とそのまま何人かの頭を足場にして外へ向かう。
申し訳ないとは思った。...全てが終わった後にだけど。
奥州は天候が変わりやすい。
私が再び外に出た時には、来賓用の部屋では見えていた月がすでに雲に隠れ、―――また、雪が強くなってきていた。
(敵の本陣は...！？)
白銀に輝く視界に目を細めながらも、辺りを見回す。
上からの指示が交錯していて、まったく戦らしい戦になってない。
どこだ。―――どこにいる―――。
一度ここに雷撃を落とし、一時的にでも天候を変えるか。
「おや？...卿は何者かね？この時代にはあまりに似合わぬ雰囲気の持ち主だ」
『...！！』
無茶過ぎる作戦に出ようとした私を、寸前で止めた声。
まるで緊張感のない、紳士的な声音。
戦場にあるはずの色の声が、すぐ背後から聞こえた。
＃Dragon eyes...131→←＃Dragon eyes...129
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 368人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
