＃Dragon eyes...126 ページ35
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一刻ほど、休みなしで歩き続けただろうか。
今私の前に広がっているのは、ぽつぽつと点在する農家の住居と、雪に閉ざされた畑。
―――そしてその向こうに、米沢城の明かりが見えている。
...私がこの時代に降りた時の場所より、何となく嫌な空気を感じるのは、
もう既に、同じ時間軸に時間遡行軍が隠れているからだろう。
それなら、尚更急がなければなるまい。
米沢城・城門に到着すると同時に、私は辺りに意識を回した。
『...妙に静かだな...』
どうやら門兵はいないようだが。
さすがに不用心すぎやしないかこれは...と、眉をひそめる。
敵の襲撃があった時、どうするのか。
無防備すぎる体勢に呆れながらも、屋根伝いに城の中へと足を踏み入れる。
潜入開始だ。
城の内部は、本丸と同じような造りになっている。
それに加え、ここは私の庭のようなものだ。
ただの刀であれど、その記憶は受け継がれ続ける。
だから私は、この米沢城だけじゃなく、仙台城の造りだって鮮明に覚えている。
何だか、もう一つの家に帰ってきたみたいだ。
緊張感と言うよりは、純粋な懐かしさを感じている。
さて...。
立派な石灯籠が置かれている庭から、人の気配がしないか確認しつつ城内へ。
外に面する長い廊下には、各部屋へ繋げるための幾つもの扉がある。
確か―――。
突き当りから奥へ五つ目の扉から、天守閣に繋がる階段に行けたはず。
(誰も、...いないな)
そっと障子を開け、小さな隙間に身体を滑り込ませる。
これだけ大きな城だ。
忙しなく動きまわる、数え切れないほどの気配は至る所から感じる。
ただ、幸運な事に、"今この場に人はいない"。
良い偶然だ。幸運は利用してなんぼである。
『...見つかる前に、見つけなきゃな』
改めて、ぐ、と拳に力を込める。
人に見つかるな。時間遡行軍に見つかるな。
私があの二振りを見つけるのが先でないと、何の意味もない。
極力気配を消し、一瞬の隙を見計らって階段を駆け上がる。
天守閣への道のりの途中、...来賓用の小さな小部屋に、黒ん坊切と鞍切は飾られている。
私は紛いなりにも長船派。
鑑賞用の美術品ではなく、あくまでも実戦向きなのだが、
この頃の伊達家は貧弱な小大名に過ぎなかった。武具が使われる事もなかった訳だ。
その事実が、何となく面白くなかったのは、今でも覚えている。
だからこそ―――。
公と共に伊達組みんなで戦場を巡った記憶が、より鮮明に私の中に残っているのだろう。
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＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
