＃竜の願い...123 ページ32
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彼女の口から聞いた台詞の衝撃もさることながら、
...大倶利伽羅が目を奪われたのは、蒼天竜が、ただ、美しかったからだ。
月明かりの下。
―――本当に彼女が蒼天竜なのかと思うほどに―――。
いつもとはまったく違う付喪神が、そこにいた。
咄嗟に動くことが出来なかった。
だから、己の身を守ることも出来なかった。
ある意味では、仕方がなかったのかもしれない。
(...あれには、抗えない)
半ば呆然としながらベッドの上で目覚めた。
それからずっと、同じことを考えている。
一方、「そうかぁ、やっぱそうだったんだよなぁ」などと
意味不明なことをぶつぶつと呟きながら、空寧は一人納得していた。
これは確かに。
"そういうことですな"、と。
「なぁ、大倶利伽羅。
「...は？」
唐突過ぎる主の言葉に、大倶利伽羅は盛大に首を傾げた。
つう"ぁい...なんだって？
最後まで聞き取れなかった。
外国の言葉か何かだろうか。
...公がよく使っていた南蛮語の響きに似ているな。
そう思いながら、聞き返す。
「"二匹の竜"、って意味のドイツ語なんだけどな。あ、ドイツってのは外国の一つでさ」
「...あぁ」
「その国の竜の概念は、「二匹で一匹」なんだってよ。一方は空を統べる竜。もう一方は地を統べる竜を指す。空を統べる竜は、天候を操る。地を統べる竜は、それに対をなすように、炎を操るんだって」
本で読んだだけの、付け焼刃な知識なんだけど、まぁ聞いてくれよ？
...空寧は可笑しそうに言い置いて、話を続けた。
「どちらかが欠ければ世界を守ることは出来ないし、力も半減だ。二匹揃って初めて、竜は竜として存在できる―――。大倶利伽羅、俺が何言いたいか、分かるか？」
「......」
答えない大倶利伽羅に、空寧は笑う。
「この話を知って、俺はすぐに、「あぁ、こりゃ"あいつら"みたいだな」って思ったんだよ。互いに互いがとても大切で、...想い合ってる」
なぁ、と。
空寧は、温かい光を宿した瞳で大倶利伽羅を見据えた。
「行くんだろ？お前は」
行かないのか？...でもなく。
行きたいのか？...でもなく。
"行くんだろ"。―――こちらが「行かない」と言っても、行かせようとする言葉。
大倶利伽羅は拳を握る。
...無論、行かないという選択肢はない。
当たり前だ。俺を舐めるな。
いつもよりも数倍鋭い目つきで、大倶利伽羅を主を見た。
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＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
