＃竜の願い...114 ページ23
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衝撃で、一瞬思考が吹き飛んだ。
主は今―――何て言ってた。
「蒼天竜の依り代を、歴史上からまるごと消す」？
それって、...つまり？
"私という存在そのものが、消える"ということで。
『...あ、』
そして気づく。
私の視界に映った、私自身の両手。
"指先が、微かに透けている"。
あぁ―――そういう事か。
感じていた恐怖が爆発しそうな場面なのに、...私の心は妙に冷めていた。
あの痛みは、私その物が破壊される痛み。
まだ完全に私が消えていないということは、...あれはきっと、"前兆"だ。
恐らく、歴史遡行軍が"あの時代"に潜り込んだ気配。
それを刀の私が察知して、...今の私に伝えた。
こう考えるのが自然だ。
両手を、下げる。
まだもう少し、彼らの話を聞いているべきだろう。
「向こうも、強力過ぎる刀剣は削った方が良いって思ったんだろうな。...いやでも、こんな強硬手段に出るとは思わなかった」
「...主」
「分かってる。蒼天竜は絶対に消させない。何せ俺の本丸の刀剣だからな。何が何でも守る。それはお前たちも同じだろ？」
声は、聞こえなかった。
けど、厚い扉の向こうから、...頷く四つの気配を感じた。
「...伊達家であいつと出会って、あいつと共に過ごした。あいつが消されれば、...俺の中にあるあいつとの想い出も、全部消える事になる」
『......』
扉に、トン、と背中を預ける。
伽羅の声を、言葉を、聞く。
「あいつだけは、失いたくない。絶対に。何があってもだ」
『...。...伽羅』
血の滲むような後悔の念が、その声から伝わってくる。
お前がそんなに後悔してどうすんだよ。
何でお前が、そんなに私の事で辛そうにしてるんだよ。
私だって、私の為に伽羅がそこまでして、...少なからず怪我をしてまで敵と戦ってくれたって聞いた時、嬉しかったけど、同時に後悔したんだ。
私が弱かったから。
自分で自分の身も守れないような、軟弱者だったから。
本当にもう、互いに、不器用で。
本当に、馬鹿だな―――。
小さく、本当に小さく、...誰にも聞こえないようにその名を呟く。
「...―――もう、あんな思いをするのは御免だ」
『...―――守られるだけで、堪るか』
決めた。もう誰がどう言おうと止まらない。
迷惑はかけたくない。私の問題は、私が解決する。
後悔はしたくないから。
話を聞いてしまったからには、もう後には戻れない。
ごめん、伽羅。
このケリは、私がつける。
...顔を上げ、私は廊下を歩き出す。
"私は、行く"。
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＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
