＃竜の願い...110 ページ19
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「今の伽羅ちゃん、無理を承知で主に頼み込んで、内番稽古を一日に何回も入れてもらってるの、蒼ちゃんは知ってる？」
『...は？』
「あー...。やっぱり知らなかったんだ。まぁ、伽羅ちゃんがわざわざそういう事を君に伝えるとも思わないけど」
『どう、...いう、意味』
初耳だった。
そういえば、最近部屋にいることが少ないなぁ、ぐらいにしか思ってなかった。
内番稽古――他の刀剣との手合わせは、畑仕事や馬当番と比べても非常に人気が高い。
よって、シフトの抽選は、主によって厳密に行われている。
それを、「頼み込んで」って。
他の奴らはそれを許したのか？
ていうか、主もよく、そんな無理な頼み承知したな...。
で、思う。
これとそれとに、どういう関係があるんだ？
「本人に聞いてもろくな返答が返ってこなかったから、これは完全に僕の憶測、っていうのを前提に、聞いてくれるかい？」
『あ、あぁ』
いつにもまして真剣な表情。声。
こういう時の光忠の言う事は、いつも正論だ。
聞いて損はないはず。
ごくり、とつばを飲み込んだ。
「伽羅ちゃんはさ。
―――君を自分の手で守り切れなかった事を、気にしてるんだと思うよ」
『...！』
咄嗟に口が動きかけた。
私は他に守ってもらうほど、弱い女じゃない、と。
けど言えなかった。
事実、死にかけたのだから。
「目の前で、"大切に思ってた人"が殺されかけて...。君も薄々気づいてるかもしれないけど、ああ見えて、君に関する事には割と敏感なんだよ、彼は」
『...』
「もちろん、蒼ちゃんもそうだね。僕たちや―――いや、僕たち以上に、伽羅ちゃんにはもう心配かけさせたくないから、夜遅くに起き出して、中庭で自主練してるんでしょ」
『え"』
「僕は気づいてるからねー」
再び固まる羽目になった私をよそに、光忠は話を続ける。
どんだけ周りの事見てるんだこの人は。
「...君は、伽羅ちゃんほど自分の心に対して頑なじゃない。それに感情の変化にも聡い。どこかで、気づいてるんじゃないのかい？」
―――何が言いたいか、予想はついてるんだろう？
優しく微笑むその顔は、まさしく、妹の身を案じる兄のもの。
「僕から君に言えるのはこれくらいの事かな。あはは、伽羅ちゃんも素直じゃないから、今日のここでの話は彼には秘密ね？」
『...あぁ』
「じゃあ、そろそろ行くよ。この後主に呼び出しされてるから」
『あ、...そう。何か色々ありがと』
ううん、気にしないで。
...そう言って、光忠は部屋を後にした。
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＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
