【刀剣乱舞】伊達の竜、蒼穹を舞え！参【大倶利伽羅】

＃竜の願い...103 ページ12

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「...何で？」

『何で、って...。そりゃあ大方の予想はつくけどさ。私がこうして眠りこけてる間、何があったのかなって思って』





予想しうる限りのことを提示してみた。

...光忠が半狂乱になって医務室に駆け込むところとか。
いつもはへらへらしてるくせに、鶴丸が珍しく焦っている姿も想像できる。


心配、かけさせただろうなぁ。

今更になってそう思った。





「まぁ、確かに光忠の旦那の焦りようは凄まじかったが...。それよりも大倶利伽羅の旦那の方がヤバかったって、俺っちは聞いてるぜ」

『...伽羅が？』




意外である。
あいつが何かしでかしたとでも言うのだろうか。

言いにくそうに薬研は視線を泳がせ、...意を決したように口を開いた。





「姉御を襲った大太刀は大倶利伽羅の旦那が仕留めたそうだ。ついでに、近辺に潜んでた遡行軍の援軍も壊滅させてる。一人で」

『...一人...？？』

「そのすぐ後ろに光忠の旦那たちもいたらしいんだけど、...余りにも大倶利伽羅の旦那の攻撃が苛烈過ぎて、ただ見てることしか出来なかったってさ」





悲痛なまでの姿だった、...らしい。

全身から怒気と殺気を迸らせ、確実に相手の息の根を止める。
―――私は胸を貫かれたあと、右手も一緒に吹き飛ばされたらしいのだが―――。



伽羅は、それとまったく同じ殺し方で相手を屠った。

鎧ごと胸に刀身を貫通させ、その勢いを利用して相手の右腕を飛ばす。





『何だって...？』

「俺っちも、鶴丸の旦那から話を聞いた時は耳を疑ったよ。大倶利伽羅の旦那はそういう回りくどいことをする刀じゃない」





薬研の言う通りだった。

いつもなら、あいつはそんなことはしない。
...普段の伽羅からは想像も出来ない仕留め方だ。


だから彼はきっと、近年稀に見るほど怒り狂っていたのだろう―――薬研は、そう想像したようだ。





「まぁようは、...皆あんたのことを心配してるってこった。早く元気な姿見せてやりなよ」

『そう、だな。...うん、助かった薬研。また怪我したらよろしく』

「そう毎回大怪我してこられちゃ困るけどな。お大事に、姉御」





ん、と返事をして、私は手入れ部屋を後にした。

...あんな話を聞かされては、伽羅の部屋に行こうにも行けなくなる。




(伽羅、...怒るかな)




何となく親に叱られる前の子供のような心境になりつつも、
私は重い足取りで、伽羅の部屋へと向かった。


―――――――

―――

―



「あとは上手くやってくれよ、大将...！」




一人手入れ部屋に残った薬研の呟きを拾う者は、誰もいない―――。




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