#Dragon's claw...93 ページ2
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［いかにも。貴様が空寧とやらの本丸に顕現した暁には、必ず仕留めよと主から仰せつかっておるのでな］
『お前の「主」ってヤツの正体が気になるとこだけどな。ごちゃごちゃ言ってないで、ようはお前を斬れば私たちの勝ちなんだろ』
―――不穏な言葉と同時に、濃密な殺意と敵意が蒼天竜を包む。
『私を折る？やれるもんならやってみろよ...！』
凄まじい勢いで、蒼天竜は地を蹴った。
華奢な足からは想像もつかない脚力である。
三間ほど離れていた大太刀との距離を瞬時に詰め、そのまま両腕の太刀を振り下ろす。
力技に持ち込まれたら不利なのは、最初から分かっている。
『ちぃッ！』
造作もない、というように軽々と防がれる。
分厚い刀身は、黒んぼ切と鞍切の威力をもってしても破壊することが出来ないのだ。
とてつもない頑丈さである。正面から突っ込むのは得策ではない。
ならば速さだ。
(速さで押して隙を突く！)
ぎりっ、と歯を食いしばり、蒼天竜はさらに移動速度を上げた。
身軽な体さばきを最大限に利用し、大太刀の背後に周り斬りつける。
変幻自在の二振りの太刀筋に、余裕をかましていた大太刀が明らかに動揺し始めていた。
うねり高らかに吠える竜。
二対の牙は、冷徹なまでに全てを貫き通す。
『私が一人で居たところを狙ったようだが祟ったな。いい気になってんじゃねぇ！』
［くっ...！］
戦況は、既に決まったかのように見えた。
大太刀の急所＿＿＿頸を狙い済ました最後の一撃。
『...何...ッ！？』
［なめるなと...言ったはずだ...！！］
完全に入ったと思ったのに。
斬撃は、ほんの一瞬の差を突いて防がれていた。
ぎりぎりと力のせめぎ合いに持ち込まれる。
爛々と輝く赤い瞳が、蒼天竜の金眼を覗き込んだ。
［小娘...貴様は何も分かっておらぬ...！］
『何が、だ...！』
［昔の事よ。仲間に捨てられ、貴様は大きな傷を負ったな］
『！！？』
な―――！
ぴき、と思考に亀裂が走る。
どうしてそれを、と言う暇もなく、大太刀は話を続ける。
［そもそも貴様の主であった伊達政宗の所業が間違っていたのだ。刀に名を与える？ふざけるにも程がある。一人の人間の下らぬ遊戯に付き合って等いられるか。貴様は本来名もなき刀。歴史も肩書も持たぬただの刀のはずだった］
『...くっ...！』
止めろ嫌だ聞きたくない。
大太刀が言わんとしていることを薄々理解し、蒼天竜は血の気を引かせた。
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＊紫苑＊(プロフ) - Ｒ−アル−さん» 一年半近くもお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした……！更新はさせていただきます、大倶利伽羅と蒼天竜の道の果てをどうぞもう少しだけ見守ってあげてください！ (2022年1月7日 13時) (
レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 鳴瀬さん» お久しぶりです！大変長らくお待たせしました……！確認したところ下書き中では完結となっていましたので、ここから整理して一気に放出してしまおうと考えています！もうしばらくお待ちくださいね…！ (2022年1月7日 13時) (レス) id: d8db5ba2d9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ−アル−(プロフ) - さ、さ、作者様？？？“終わり”になってますが続きは無いのでしょうか・・・？（泣） (2020年10月13日 20時) (レス) id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 更新、ありがとうございます。続き、楽しみにしています。 (2020年5月13日 20時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
鳴瀬 - 最後まで、楽しみます。なので、体調に気を付けて頑張ってください。拗れに拗れているけど、そこが面白いです。伊達組、最高です。 (2020年4月23日 11時) (レス) id: 67ee969d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi415
作成日時：2019年10月19日 21時
