#百四十八振り目(〜百二十一振り目・山姥切sideの続き〜) ページ5
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「はぁッ...はぁッ...、っ、くっ!」
「あれ?だいぶ息切れてきちゃったみたいだね山姥切?ほら、__脇が隙だらけ!」
ガギンッ!と。
...すんでのところで弾かれた刀身をひらりと返して、加州は再び山姥切から距離を取った。
いつから打ち合い続けているだろうか。
いい加減、集中力も体力も限界点に達しようとしている。
認めるのは癪だが、確かに加州の言う通り、今はまともに呼吸をする事さえ叶わない。
真剣同士で相対する敵は、普通なら時間遡行軍一択だ。
それが、...己の目の前に立っているのは、"元"仲間。
息切れの原因は、何も集中力と体力の限界だけではない。
精神的なダメージ。
頭では「こいつはもう敵なのだ」と割り切っているつもりが、彼と共に過ごしていた平和な古い記憶が、どうしてもその意思を邪魔してくる。
「キツい」などという安易な言葉で、表せてなるものか。
心をえぐられるような鈍い痛み。
___終始抱え続けて、戦っていた。息が切れないという方がおかしい。
何より。
(外の状況がまったく分からないのが痛手だな...!)
ちらりと、外に繋がる扉に視線を移す。
どうしてか、ここは外の音をまるっきり遮断する何かが張り巡らされているらしく、
...どんなに耳を澄まそうと、今向こうがどんな状況なのか、把握することができない。
時間遡行軍とは、もうぶつかっているのか。
なら、戦況は?形勢はどちらが有利なのか?
影華は。___そして、Aは。
「気になるんなら、まずは俺を倒さないとね。油断してたら殺られるよ?」
「...お前に、俺が、殺せるとっ...!?」
「だから___さっきからそう言ってるよね!」
再び、交差。
白銀の火花が、二人の間で散っては消える。
幾度も、幾度も。
どうにかして相手の弱みを握るべく、己を振るう。
迷いも、疑問も、何もかもを隠し通して、山姥切は加州を睨みつけた。
「お前は!仲間である本丸の男士を危険にさらす審神者を、どうとも思わないのか!?」
「思わないよ!主のする事は全て正しい。それが何であろうと、俺は主に着いていくって決めたんだ!主の前にみんなが塞がったら___俺は迷わず刀を向けるッ!」
白と黒。
光と影。
相反する者がぶつかり合った時___そこで、何が起こるのか。
加州の言葉に、山姥切は静かに瞳を閉じた。
「そうやって、己が築いた殻に閉じこもろうとするお前のことさえ___Aは救おうとしているんだぞ」
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*紫苑*(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます!続編完成しましたよ!(*^▽^*)続編の方でも楽しんでくださると嬉しいです…!(*≧∀≦*)あともう少しだけお付き合いください!よろしくお願いします! (2020年4月3日 21時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編気になるーーー頑張ってください!!!!大ファンです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 54588389f1 (このIDを非表示/違反報告)
*紫苑*(プロフ) - ちゃらんぽらんさん» 嬉しいコメントありがとうございます...!!1人でも多くの刀剣乱舞ファンの方を伊達組沼に落とそうと画策していた次第であります(笑)楽しんで頂いているようで作者も本望です(*^▽^*)続編、ラストスパートかけていきます!あと少し、よろしくお願いします!! (2020年3月23日 11時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - (続)寂しさも感じます、続きを楽しみに待っております!かなり長くなってしまって申し訳ない!更新頑張ってください!!! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - 初コメ失礼します!!めっっっっっっちゃ続きが気になりすぎて夜しか眠れません((元々鶴丸だけを推してたんですが、この小説がきっかけで一気に伊達沼に堕ちました……サイコーだぜ…((続きが気になるし、早く読みたいと思う反面、伍で終わってしまうのか…という(続) (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*紫苑* | 作者ホームページ:http://twitter.com/wakagi116
作成日時:2019年5月10日 18時