＃百六十六振り目（百五十九振り目の続き） ページ23
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落ち着け。＿＿＿落ち着け。
山姥切は大きく息を吸い、...小さく吐いた。
体の力を抜き、そのまま跳躍一つで屋根の上に上る。
カンッ、カンッとリズミカルに響く音は、革靴で屋根瓦を踏み締める音だ。
緊張するな。いつもの自分でいろ。
そう言い聞かせでもしないと、本当に倒れてしまいそうだ。
恐れとか怖いとか、そういう感情的なものではない。
にも関わらず、正体不明の"それ"は山姥切の心臓を痛いほどに締め付けていた。
ザッ...、と。
わざと大きな音を立て彼が止まったのは、"時間遡行軍が待機している陣から丸見えの場所"だった。
「「「.....！！」」」
ざわ...、と黒い波が動いた。
波打つ紅い光。甲冑が擦れる音が、やけに耳障りだった。
とても人とは思えないあの容姿でも、「驚く」、という感情や思考がヤツらにあったのか、と山姥切は思う。
もしもここから無事に帰ることが叶ったら、後でその事を鶴丸に教えてやろう、とも。
さて、本番はここからだ。
吉と出るか、凶と出るか。
＿＿＿最後まで、賽の目は何が出るか分からないものだ。
山姥切は、大きく息を吸い込んだ。
「さっきから、お前たちは一体そこで何をしてるんだ？座って書でも読んでいるのか？そっちから戦を吹っ掛けておいて、油を売ってる暇があると思ったら大間違いだぞ！」
とんだ挑発行為だ。
これで乗ってきたら笑いものだな、と自嘲気味に呟く。
黙ったままの時間遡行軍に、さらに畳みかける。
「何だどうした？俺のような小汚い刀に罵られて黙ったままという事は、もう負けを認めたようなものだな！ふん、化け物の分際で、歴史に手を出そうとするからそうなる！」
「...ググ...、ガゲゲ...」
「！」
山姥切が立っている場所＿＿時間遡行軍で埋め尽くされている大草原を一望できる屋根の端の端＿＿から、直線で数十メートル先にいる大太刀の一人が、反応を見せた。
声を出すという行為を忘れ、その記憶を手繰り寄せているかのような不快な音。
しばらくしてから、その大太刀がゆっくりと立ち上がった。
〔今さらのこのこと誰がやってきたかと思えば...。取るに足らぬわ、山姥切国広ぉ...〕
「...どうやら、言葉を発する口は持っているらしい。"久しいな"、大太刀」
「久しいな」―――まるで、数年振りに会った友人にかけるような言葉。
ただ、表情と声色がその言葉について行っていない。
表情は険しいまま。
声色には、明らかな敵意が滲む。
山姥切は、ぎり...と拳を握った。
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＊紫苑＊(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます！続編完成しましたよ！(*^▽^*)続編の方でも楽しんでくださると嬉しいです…！(*≧∀≦*)あともう少しだけお付き合いください！よろしくお願いします！ (2020年4月3日 21時) (
レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編気になるーーー頑張ってください！！！！大ファンです！ (2020年3月30日 14時) (レス) id: 54588389f1 (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - ちゃらんぽらんさん» 嬉しいコメントありがとうございます...!!1人でも多くの刀剣乱舞ファンの方を伊達組沼に落とそうと画策していた次第であります（笑）楽しんで頂いているようで作者も本望です(*^▽^*)続編、ラストスパートかけていきます！あと少し、よろしくお願いします！！ (2020年3月23日 11時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - (続)寂しさも感じます、続きを楽しみに待っております！かなり長くなってしまって申し訳ない！更新頑張ってください！！！ (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - 初コメ失礼します！！めっっっっっっちゃ続きが気になりすぎて夜しか眠れません((元々鶴丸だけを推してたんですが、この小説がきっかけで一気に伊達沼に堕ちました……サイコーだぜ…((続きが気になるし、早く読みたいと思う反面、伍で終わってしまうのか…という(続) (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi116
作成日時：2019年5月10日 18時
