#百七十五振り目 ページ32
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『おっ...』
「ほんと...?ほんとに、ほんと?」
『___お姉ちゃんね、嘘を吐く人って結構嫌いなんだよね。だから、ほんと!安心して、話していいよ』
一言で言うと、「むちゃくちゃ可愛い」。
くりくりの黒い瞳に、整った顔立ち。
これ大きくなったら100%モテる確定じゃんか...、と呆れてしまうほどに、少女は可憐だった。
が、それを台無しにしているのは、くっきりと残った涙の跡。
どうにかして慰めてはあげられないだろうか___と、当初の目的を忘れかけてしまうほどに、痛々しいものだった。
「...えっとね、それじゃあ、話すからね...」
『オーケー。お姉ちゃんは準備万端だよ』
自分を落ち着かせるように、大きく息を吸って、吐いて。
少女は何回か深呼吸した後、私をしっかりと見据えてから、
..."ゆっくりと、目を閉じた"。
『...ん!?』
「私ね、...ちっちゃい頃は、とうさまとかあさまと、元気で楽しく暮らしてたの」
な、何か...。
...何か、予想してたのと違うんですが...!?
唐突に、闇に包まれていた空間が真白に輝いた。
あまりの明るさに、目が眩む。
光が収まり、明るい空間にようやく目が慣れて周りを見回してみると。
いつの間にか、私は"知らない家のリビングにいた"。
『えっ、嘘、...は!?』
「お姉ちゃん、ちゃんと聞いてくれるって言ったでしょ?私の話、ちゃんと聞いてよ、もう!」
『あっ、...ご、ごめん...』
隣にいるのは、先程と変わらない少女。
が、明らかに口調と態度が変貌しているというか...。
まぁ、泣いているよりはマシだろう。
自分よりも年下の子を叱るような口調で、少女は私にそう言った。
取りあえず謝っちゃったけど...。
これだけ年が離れてる子に注意されるって、複雑だな...。
と、肩を落としていると。
リビングの扉を開けて入ってきたのは、大人二人と幼稚園児ほどの女の子だった。
〔はっはっは!やっぱりお前は元気だなぁ!〕
〔ねぇとうさま!また高い高いやってよ!〕
〔どれ、じゃあおいで!___ほら、たかいたかーい!〕
〔気をつけなさいよ、二人ともー!〕
『...あれ、って...』
「うん。私の、とうさまとかあさまだよ。あの子は私。あの時は、...楽しかったなぁ...」
なぜ、過去形なのか。
なぜ、そんなにも悲しそうに笑うのか。
...聞こうにも、聞けなかった。
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*紫苑*(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます!続編完成しましたよ!(*^▽^*)続編の方でも楽しんでくださると嬉しいです…!(*≧∀≦*)あともう少しだけお付き合いください!よろしくお願いします! (2020年4月3日 21時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編気になるーーー頑張ってください!!!!大ファンです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 54588389f1 (このIDを非表示/違反報告)
*紫苑*(プロフ) - ちゃらんぽらんさん» 嬉しいコメントありがとうございます...!!1人でも多くの刀剣乱舞ファンの方を伊達組沼に落とそうと画策していた次第であります(笑)楽しんで頂いているようで作者も本望です(*^▽^*)続編、ラストスパートかけていきます!あと少し、よろしくお願いします!! (2020年3月23日 11時) (レス) id: a951637298 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - (続)寂しさも感じます、続きを楽しみに待っております!かなり長くなってしまって申し訳ない!更新頑張ってください!!! (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃらんぽらん(プロフ) - 初コメ失礼します!!めっっっっっっちゃ続きが気になりすぎて夜しか眠れません((元々鶴丸だけを推してたんですが、この小説がきっかけで一気に伊達沼に堕ちました……サイコーだぜ…((続きが気になるし、早く読みたいと思う反面、伍で終わってしまうのか…という(続) (2020年3月20日 13時) (レス) id: 72997b1d17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*紫苑* | 作者ホームページ:http://twitter.com/wakagi116
作成日時:2019年5月10日 18時