＃百十八振り目 ページ24
・
凄まじい。
その一言でしか、表現の仕様がなかった。
霊力を扱える者同士の、激しいぶつかり合い。
＿＿＿霊力を使った、人対人の戦いなんて初めてだったけど。
突き出した剣を伝って、何万トンもの重りが体に押し付けられているようだ。
その重りは、私を潰すそうと躍起になっている。
...分かるだろうか？
つまり私は、霊剣を握る右手のみで、何万トンに抵抗している、と。
どんなファンタジーアクション小説だよこの状況...！？
...そんな軽口を言う余裕さえ、無い。
『うぐっ...！』
「あははははっ！！守っているだけじゃ私は倒せないわよ！？」
結界の外から聞こえる影華の高笑いが、やけに耳障りに感じる。
部屋の中で吹きすさぶ風の音で、ほとんどかき消されてはいるが。
＿＿確かにそれは、高笑いだ。
「A様！私もお助けしますぞ！」
『こんのすけ...！？え、ちょ、＿＿＿わ！？』
背後にいたはずのこんのすけが、ふわっと宙に浮きあがる。
その前足を、私の右手に重ね、
...重ねた瞬間。
「......ッ！！？」
『お、...おぉ...！？』
「私とて、妖狐の端くれなのですよ！」
ゴッ、と"結界内に一陣の風が吹き"。
それと同時に、私の結界が金色に輝き出した。
青みがかった波に、金色が混じる。
向こうからぐいぐいと迫っていた影華の黒を、押し返し始めた。
お...！？
これはまさか、行けるんじゃ...！
心なしか、内側から何かに励まされているような感覚を覚える。
きっと、こんのすけの思いだ。
それをまとめて、力にして。
霊剣に乗せて、今一度グンッ、と圧した時。
...言い訳じゃないけど。
油断なんて、してるつもりは毛頭なかった。
それでもあいつは。
影華は、私を遙かに上回る技の持ち主だった。
「ほざけえええええッ！！」
『え！？』
「のわっ...！？」
耳をつんざくような叫び声。
＿＿＿化けの皮が剥がれたかのような、豹変の仕方だった。
状況の変化は、一瞬にして歴然としたものになる。
ピキッ...、と何かにヒビが入ったような、嫌な音。
ゾク、と背筋が凍る。
結界の向こう。
影華の刃の勢いが、...増した気がした。
その瞬間。
『うわっ＿＿＿＿！！？』
私の手の中で、..."霊剣が粉々に砕け散った"。
呆然と掌を見つめる時間なんて、あるはずがない。
霊剣が砕けたと同時に、結界も砕け。
部屋の奥で、満面の笑みを浮かべた影華の顔を見たが最後、私の意識はプツンと途切れた＿＿＿。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪音 - ＊紫苑＊さん» 私もそういうタイプ苦手なのですが、愛され、逆ハー無しは出来ますか？成り代わる夢主は刀剣乱舞原作知識無しですが、体術剣術が得意な設定で。 (2019年4月6日 16時) (
レス) id: 97908b673d (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 雪音さん» すみません、成り代わり勘違いというのは、まとめてしまうと「愛され」とか「逆ハ―」系統のものですよね？そういうタイプのものは書けないので、こちらもお断りさせて頂きます...。何度もごめんなさい！ (2019年4月6日 16時) (レス) id: 9bd0eaa6f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪音 - 大和守安定成り代わりの勘違いお願いします！ (2019年4月6日 14時) (レス) id: 97908b673d (このIDを非表示/違反報告)
＊紫苑＊(プロフ) - 雪音さん» コメントありがとうございます！一気にですか！？とても嬉しいです( *´艸｀)リクエストは推しでないと書けないのですが、よろしいでしょうか？刀剣乱舞の他に、ナルト、進撃、銀魂、戦国BASARA、どろろなどです！書けるかどうかは分かりませんが、参考までに...。 (2019年4月4日 20時) (レス) id: 9bd0eaa6f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪音 - とても面白く一気に読んでしまいました！更新頑張って下さい！リクエストして大丈夫ですか？知っているアニメ教えて下さい(｡･ω･｡) (2019年4月4日 11時) (レス) id: 4a53d6b9ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：＊紫苑＊ | 作者ホームページ：http://twitter.com/wakagi116
作成日時：2019年1月12日 16時
