検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:77,171 hit

33.説得 ページ34

〜Aside〜



壁に頭を打ちつけたのを最後に、私は記憶が無かった。どうやら気絶したっぽい。頭をぶつけて気絶、なんて今まで一度も無かったんだけどなぁ。

多分、今は夢を見てるんだと思う。

じゃないと、こんな風に考え事なんか出来ないもの。


…とか考えてると、誰かに名前を呼ばれてる気がした。耳を済ましてみる。確かにその声は私の名前を呼んだ。『A』って。


………A…?そんな名前だったっけ、私…。そっか、そうだった。危ない、記憶が吹っ飛ぶとこだったよ。


でも、それっきりあの声は聞こえなかった。


声は聞こえなくなったけど、『その人』がすぐ側にいる事はわかった。……なんで夢の中なのにそんな事わかるんだろう…?


…こんな事考えてる暇があるんなら起きなきゃ。多分側にいるのはCharaだ。せめて迷惑を掛けないようにするためにも…起きなきゃ……


私が目を覚ますと、ちょうどCharaが私から離れようとしているところだった。

どうせCharaの事だから母さんに言いに行くんだろうな。でも、この事を大袈裟にして欲しくない。だから私はCharaの服の裾を引っ張る。


Chara「A…!大丈夫だったかい?怪我は?痛いところは?」


そんな一気に質問されても………まあ全部大丈夫だから首を横に振るけど。

あとはCharaを引き止めるだけ。じっとCharaを見つめてみる。


Chara「………どうしたんだい、A。」


Charaを止める方法は一つ。甘えるしかない。ごめんねChara。でも今は変に動かないで。


A「どこか、行くの…?」

Chara「うん、ちょっとね。すぐ戻るよ。」


少し涙声で、目を潤ませながらCharaを見る。


A「………いかないで…」


それを聞いた途端、Charaが目を見開いた。


Chara「母さんの部屋に行くだけだよ。すぐ戻る。」


そう言うCharaの服の裾をさらに強く掴んだ。絶対に母さんには言わせない。

……と、Charaが私の頭を撫でた。流石にこれは予想外で驚きかけるけど、Charaを行かせない方に集中しなきゃ。


Chara「………わかった。」


ここでようやくCharaが折れてくれた。そして私のベッドに腰掛ける。


それから私は寝たふりをした。Charaが自分のベッドに入って寝るまで、薄目で見ていた。



ねえChara。君は気付いてくれなかったね。
………本当は、無事なんかじゃないんだよ。頭が痛いんだよ。たまにボーッとするんだよ。


今だってそう。なんかボーッとする。気付いてくれると思ったんだけどな……

34.握手→←32.側にいて欲しくて



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

御影双葉(プロフ) - nefyさん» コメントありがとうございます。今後も頑張りますので、ぜひ見て行ってください! (2017年4月6日 12時) (レス) id: 33e6ec98fc (このIDを非表示/違反報告)
nefy - 頑張ってください! (2017年4月5日 22時) (レス) id: 4723fd4634 (このIDを非表示/違反報告)
御影双葉(プロフ) - kannaさん» オリフラの事ですが、本当ですね、気付きませんでした。教えてくださり、ありがとうございます!今後も更新頑張りますので、ぜひ見て行ってください!! (2017年3月14日 3時) (レス) id: 7895be0f36 (このIDを非表示/違反報告)
kanna - オリフラついてますよ〜 たのしく読まさせて貰ってます 今後も頑張って下さい! (2017年3月14日 2時) (レス) id: 27ee5a8e79 (このIDを非表示/違反報告)
御影双葉(プロフ) - 美秋さん» 美秋さん、コメントありがとうございます!これからも頑張って更新しますので、ぜひ見てくださいね! (2017年3月1日 23時) (レス) id: d6a085d8cb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:御影双葉 | 作成日時:2017年2月26日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。