33.説得 ページ34
〜Aside〜
壁に頭を打ちつけたのを最後に、私は記憶が無かった。どうやら気絶したっぽい。頭をぶつけて気絶、なんて今まで一度も無かったんだけどなぁ。
多分、今は夢を見てるんだと思う。
じゃないと、こんな風に考え事なんか出来ないもの。
…とか考えてると、誰かに名前を呼ばれてる気がした。耳を済ましてみる。確かにその声は私の名前を呼んだ。『A』って。
………A…?そんな名前だったっけ、私…。そっか、そうだった。危ない、記憶が吹っ飛ぶとこだったよ。
でも、それっきりあの声は聞こえなかった。
声は聞こえなくなったけど、『その人』がすぐ側にいる事はわかった。……なんで夢の中なのにそんな事わかるんだろう…?
…こんな事考えてる暇があるんなら起きなきゃ。多分側にいるのはCharaだ。せめて迷惑を掛けないようにするためにも…起きなきゃ……
私が目を覚ますと、ちょうどCharaが私から離れようとしているところだった。
どうせCharaの事だから母さんに言いに行くんだろうな。でも、この事を大袈裟にして欲しくない。だから私はCharaの服の裾を引っ張る。
Chara「A…!大丈夫だったかい?怪我は?痛いところは?」
そんな一気に質問されても………まあ全部大丈夫だから首を横に振るけど。
あとはCharaを引き止めるだけ。じっとCharaを見つめてみる。
Chara「………どうしたんだい、A。」
Charaを止める方法は一つ。甘えるしかない。ごめんねChara。でも今は変に動かないで。
A「どこか、行くの…?」
Chara「うん、ちょっとね。すぐ戻るよ。」
少し涙声で、目を潤ませながらCharaを見る。
A「………いかないで…」
それを聞いた途端、Charaが目を見開いた。
Chara「母さんの部屋に行くだけだよ。すぐ戻る。」
そう言うCharaの服の裾をさらに強く掴んだ。絶対に母さんには言わせない。
……と、Charaが私の頭を撫でた。流石にこれは予想外で驚きかけるけど、Charaを行かせない方に集中しなきゃ。
Chara「………わかった。」
ここでようやくCharaが折れてくれた。そして私のベッドに腰掛ける。
それから私は寝たふりをした。Charaが自分のベッドに入って寝るまで、薄目で見ていた。
ねえChara。君は気付いてくれなかったね。
………本当は、無事なんかじゃないんだよ。頭が痛いんだよ。たまにボーッとするんだよ。
今だってそう。なんかボーッとする。気付いてくれると思ったんだけどな……
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御影双葉(プロフ) - nefyさん» コメントありがとうございます。今後も頑張りますので、ぜひ見て行ってください! (2017年4月6日 12時) (レス) id: 33e6ec98fc (このIDを非表示/違反報告)
nefy - 頑張ってください! (2017年4月5日 22時) (レス) id: 4723fd4634 (このIDを非表示/違反報告)
御影双葉(プロフ) - kannaさん» オリフラの事ですが、本当ですね、気付きませんでした。教えてくださり、ありがとうございます!今後も更新頑張りますので、ぜひ見て行ってください!! (2017年3月14日 3時) (レス) id: 7895be0f36 (このIDを非表示/違反報告)
kanna - オリフラついてますよ〜 たのしく読まさせて貰ってます 今後も頑張って下さい! (2017年3月14日 2時) (レス) id: 27ee5a8e79 (このIDを非表示/違反報告)
御影双葉(プロフ) - 美秋さん» 美秋さん、コメントありがとうございます!これからも頑張って更新しますので、ぜひ見てくださいね! (2017年3月1日 23時) (レス) id: d6a085d8cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影双葉 | 作成日時:2017年2月26日 23時