2 ページ4
･
「スズ、よく聞いてね」
私がまだ3歳の頃、母親に伝えられたのは母親の過去と私の未来の話
『…？』
「あなたの父親は伏黒甚爾」
『とーじ…？』
「そう、ままのお兄ちゃんよ」
『家族とけっこん、できるの？』
「ううん、ままのお兄ちゃんはね、他の人の旦那さんなの。ままと結婚することは出来ないし、その人にも子供がいるから」
私は幼いながらに頷いて話を聞いた
「ままのお家はね、代々呪霊っていうものが視える家なの」
『じゅれい』
「そう。最近、スズよく言うじゃない。幽霊が視えるって。それが呪霊。
呪霊は人の嫌な気持ちから生まれるの。スズも怒ったり泣いたり嫌だなぁって思う時あるでしょ？」
『うん』
「その気持ちが溜まって呪霊になるの。呪霊はね、人に危害を加える」
『きがい？』
「悪いことするの。人に怖いことをする。その呪霊と戦うお仕事が呪術師って言うんだけど」
『じゅ、じゅつし』
「ままのお家の人…禪院っていうんだけど、禪院家はみんな呪術師なの」
『じゃあ、ままもじゅじゅつし、なの？』
首をこて、と傾げれば、母はふるふると首を横に振った
『どうして？』
「ままには呪霊が視えなかった。だからままはお家で酷い扱いされてたの」
『でも、ままは』
「そうよ。私は今は呪霊が視えるようになった。でもね、呪術師になるには呪霊が視えるだけじゃ駄目なの。
呪力っていう呪霊に対抗する力が必要。私にはそれが無かった」
私は彼女の一人称が"私"になっていることに気づき、本当に大切な話なんだな、と改めて感じた
「呪力が無い代わりにね、とてつもない記憶力を与えられたの。スズ、あなたは禪院家から受け継いだ呪力も私から受け継いだ記憶力もある。
だから、私が死ぬ前に、記憶力のいいスズにお願いがあるの。こんなことを言ったら呪いになってしまうかもしれないけど」
―――人を助けて、強くなって、禪院家を見返して
その言葉を聞いて数日後、母親は病死した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スズ | 作成日時：2022年4月29日 17時
