第5話 ページ5
――…。
無言で歩き続ける三人。
特に話題もなく、不安な気持ちを抱えたままついていく。
「…今、三人だよね?」
唐突に亜美が誰に宛てたわけでもない質問をする。
私は少しの間、その質問の意味がわからなかった。
「あ、君気づいたの?やっぱり凄いな…」
振り向かないまま、マオは答えた。そして、小声で続ける。
「聞こえるかな?ほかの足音が。…かなりの数だ。…これを守ってもらえる?まず、気づいた素振りを見せないこと。絶対に振り向かないこと。」
私は意味が少し理解できなかったが、危険な状態だということはわかる。
自分のできる限り、守ろうと思った。
―…。5分ほど歩いただろうか。
後ろから迫りきているだろう恐怖に、私の心は押し潰されそうになっていた。
後ろを歩く私のそんな心に気づいたのか、マオが呟く。
「…仕方ない、一気に行くか」
―パチン。
マオの指が軽い音を出す。
景色が曲がり、回り、一瞬、空に浮かんだ感覚。
次に目を開けると、そこはさっきとは違う景色だった。
「な…!?」
「…。」
思わず驚きの声をあげる。
しかし亜美は何の反応もない。そして言った。
「ま、もう、これくらいは驚けないよね」
「うわ、何か何もかも見透かされてるみたいだなぁ…怖い怖い」
マオがそう答える。
私は話についていけず、ただ呆然と立ちつくしていた。
「あぁ、そうそう。そろそろ君達も自己紹介してもらえる?僕も、このセカイについて説明がしたいんだ」
…またパッと話題変えやがって…。ついてけねえじゃねーかこの野郎。
そのまま、まったくわけのわからないまま私たちは自己紹介した。
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時