第18話 ページ20
「さて…あんなことがあったなら、マオ起こさないとだな。今後ああいう事があったその時に目覚められて暴走されたらたまんねぇからな…んで、乗れよ」
「え?」
深刻なことを呟いていたあとに突然乗れ、と言われよくわからない返事を返す。
「乗り移られて心身限界近い奴と、それのせいで腰抜かしてる奴が居るだろ?」
『…気づいてたのか…』
姉と2人声を合わせる。ユウによると、乗り移られた人間はかなり身体が疲労してしまうらしい。私たちは素直に乗せてもらうことにした。
「疲労は俺が治してもいいけど…心までは無理だからな」
そう呟いたユウは右手を私たちのほうへ向けた。
その瞬間、身体がふわっと浮き上がり、私たちはユウの分身の犬の上に乗せられた。
「おぉ…もふもふだぁ」
ユウがマオを背負ったまま歩き出すと、それに合わせて犬もゆっくりと歩き出した。
「ところで、マオはおぶるのでいいの?」
乗せればいいのに、と亜美が言う。
「いや色々あってな。危なくなるんだよ」
ふぅん、と興味無さ気な返事をする亜美だが、私は知っている。
亜美は、本当に興味が無い時は返事をしない。
この返事は『超興味あるけど今は聞くべきじゃないよなぁ』と感じたときのものだ。
「さて…どこが安全かなぁ…一回入った教室はもう入れないはずだから…けど、入ってなくてモンスター居ない教室なんかあるのか?」
「さぁ…うーん、職員室とか?」
モンスターが居ない教室なんて無いと思うが、まだ入っていないその教室が近くに見えたのでなんとなくそう言うと、ユウが「…なるほど」と呟く。
え?まじで?
「広いし、何か来ても大丈夫かもな。行くか」
そこで、扉の大きさ的にユウの分身が入れないことに気づくと、ユウは犬のほうを見て指を少し動かした。
少しずつ犬の大きさが小さくなり、扉に入る大きさになる。
最初以降教室ワープで変なことはなかったが、さっきの出来事を思い出し、犬にしがみつく。
ユウは再び足を進め、職員室に入る。続いて私たちも入っていった。
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時