ふしぎな世界【オリジナル】 (ページ14)

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第13話ページ14

「ええと…貴方は誰？なんでドアを…ていうかあの化物は」
「いやまあ落ち着け。俺はユウっていうんだけど…ああ、あれか。お前が由美？」
「へ？そうですけど…何で私の名前を」
「俺、情報屋だし。屋っつっても売る相手いねぇから、情報集めが趣味とでも言っとくか」
そこでユウはあ、と言って私の目に手を被せた。
「一応確認するけど、あの化物倒しちゃっていいんだよな？」
「え、あ、たぶん…うん」
ん、と肯定の声が聞こえたと思うと、ドォンッと轟音がすぐ近くから聞こえてきた。
「…完了、と」
私の目から手を離して言う。見回すと、化物はいなくなっていた。

「ってお前怪我してんじゃねぇか！早く言え！」
「早く言えって言われても…」
「あ…、それもそうか」
ユウは苦笑して私の身体へ向けて手を広げた。
そして私は紅くて柔らかい半透明なものに包まれた。まるでスライムのような。
それは目にも触れているはずなのに、特に痛みを感じない。ユウの姿が少し赤く、鈍く目に映る。
「よし。あとどっか痛い所とかないか？」
包まれていたものが消えて身体を見ると、身体の傷は一つ残らず消えていた。
ふいに、私のコートのポケットからもぞもぞと黄色いものが顔を出した。
「あれ、むーちゃん…！いないと思ったらここに入ってたの？攻撃されなかった？」
きゅ、とむーちゃんは鳴いた。やはり可愛い。

しばらくその光景を見ていたユウだったが、校門のほうへ身体を向ける。
「じゃあ俺は、通りかかっただけだし帰っ―」
「ま、待って！」
振り返り引き止める。もうご存知の方もいるかもしれないが、私はかなりの怖がりだ。
一人なうえあんなのに出くわしたあとでは、歩ける自信もない。

「私一人じゃ絶対、マオのとこ戻れないもん…」
ユウの服をつかんで半泣きで呟く。なんていうんだろう。私は子供か。いや、子供だけど。小５だけど。
そこでユウは意外な反応を見せた。
「マオって…あ、ああぁ！！！そういうことか！」
何だか知らないが一人で納得したユウは、私の頭に手を乗せた。
「…まあ、そうまでされて帰るほうがおかしいしな。はぐれんなよ？」
「じゃあ服掴んでるね！」
「いいけど伸ばすなよ、これ気に入ってるから」
扉を閉じ、再び中へ歩き出す。
恐怖はもう、ほとんど消えていた。