第10話 ページ11
その建物は、本当に学校だった。
床はゴムのように柔らかく、またプラスチックのように固く感じる廊下だ。
見渡す限り、窓とドア。ドアはガラガラと音を立てて動く、まさに学校といったもの。
マオはこの世界を、「外でいらなくなったモノを入れる倉庫としても使われてるんだよ、ここにはどんなに大きいものでもしまえるから」と言っていたが、この学校は廃校にでもなったのだろうか。
それとも、他の方法か。あくまでゲームの中の建物なのか。
「由美ー?置いてくよー」
「わ、ひどっ…待ってーっ!」
考え事をしていてすっかり置いていかれていた私は、ぱたぱたと急いで2人を追いかける。
その後ろで、入ってきた校舎の扉が、小さく音を立てて閉まったことに、私は気づかなかった。
「私、図書室に行ってみたいわ」
突然言い出したのは亜美だった。そうか、お姉ちゃんは本好きなんだっけ。だから成績優秀なのかなぁ…。
「じゃあ行ってみようか」
その案に乗ったマオの言葉で、私たちは図書室に行く事にして、歩き始める。
歩くたびにコツコツと鳴り響く足音がどこか不気味に思えた。
大きく「図書室」と書かれた板がついた教室を見つけ、私が開けようとしたが、固くて開かない。
「あかない…」
「…えっ?…本当だ」
試しにマオも開けてみようとしたが、やはり開かない。マオは深刻そうな顔になり、おかしいな、と呟く。
「開かないのは怪しすぎる。やっぱり他の―」
ここまでマオが言ったところで、後ろから物凄い轟音。振り向くと亜美が力づくで扉を叩き割った後だった。
「!?? は!?」
マオは驚いているが、私は自らの姉の持つ怪力の凄さは知っていたので大して驚かない。それよりも、破壊したドアの向こうに空間が見えず、闇が浮かんでいるだけということのほうが大問題だ。
「行こう?」と言う亜美からはすさまじい本好きの執念が感じられる。本好きってこわい。
私は若干嫌な予感がしながらも、図書室に足を踏み入れた。その後ろに2人も続く。
と、そこで。私たちの意識が、飛んだ。
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時