ふしぎな世界【オリジナル】 (ページ2)

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第2話ページ2

携帯が大きくなる。

なんで？どうやって？なぜ？
疑問がたくさん、頭の中を駆け巡る。
…しかし、考えている暇はない。
その間にもますます大きくなっている携帯。高さはすでに天井ギリギリだった。
風も増している。このままでは吸い込まれる！
とにかく必死に、机にしがみつく。
よく見ると、こんな風なのに家具は吸い込まれるどころかびくともしていない。
影響を受けているのは、由美だけのようだった。

風は強く、大きくなり、ついに由美は画面の中に吸い込まれていく。
より強くなっていく風に引っ張られながら、画面縁に必死でしがみつく。
しかし、その力もだんだんと抜けていき、ついに腕一本で横向きにぶら下がっている状態になった。
「っ…！」
力を入れた指先から感覚がなくなっていくのを感じながら、ここに吸い込まれたらどうなるのかと考える。

――カチャンッ

ドアノブが回る音。亜美がドアの向こうにいる。
無我夢中で叫ぶ。
「―助けて！」
扉の開く音がした。亜美が入ってきたのだ。
安心感からつい手を放し、由美は画面の中に吸い込まれていった。

悲鳴に気づいた亜美は、すぐに部屋に入った。
一瞬驚いたが、決心したような顔になると、自分も携帯の画面へ飛び込んだ。
…どうなっているんだろう。
考えようとしてやめた。
今はとにかく私と由美の安全が一番だ。
画面の中の真っ黒な世界。
現実なのか、まず３次元なのかもわからないその場所で、由美を手探りで捜し、手を握る。
そのまま、２人は気を失った。