相棒 ページ3
「はぁ……」
「やぁ、浮かない顔だね。A。あぁ、もう主と呼ぶべきかな?」
上司の部屋から出てきた私を爽やかに笑いながら出迎えて来たのは昼頃に仮眠から起きてきた長義であった。
目の下の隈さえなければ青春系のコマーシャルに出れるぞ、お前。
「はいはい、ドーモ長義さん。私はまだ審神者では無いのでその呼び方はおやめ下さい。」
「なんだ、乗ってくれないんだね。」
「どれだけ疲れていてもその手には乗りません」
「六徹目なら頷いてくれると思ったのに。まぁこれから主になるから関係ないか」
…そう、この山姥切長義、ことある事に私の刀になろうとしてくるのだ。何故か。
確かに私は普通の審神者よりも霊力量は多く、ほかの技術に流用が可能でその操作にも長けている。
だから政府にいる刀剣に主になってくれと熱烈なプロポーズを頂くが丁重に断らせていただいている。
「A様!」
ぽん、と軽い音がし、何よりも聞き慣れたその声に私は少し遠い目になった。
「…なんですかこんのすけ様」
「只今よりA様の本丸へご案内をと…」
…………私はそんなに酷い顔をしていただろうか。
こんのすけ様に震えられながら手荷物を素早くまとめ、同僚達に謎の祝いを貰って本丸へ飛ぶ。
「…此処が?」
「……その、はい、そうですね…」
「ふむ、これは…」
本丸に着いた、着いたのだが…。
これはどう見ても…
「「屋敷」」
「……嗚呼、長義さんもそう思います?」
「奇遇だね、俺とそう思うよ」
本丸と言うには小さく、一軒家と言うには大きすぎる。……なんとも言えない、昔のちょっと大きな御屋敷みたいなものだった。…全く、私は審神者にはなれずに政府職員として働いてるからバレないとでも思ったのか。寧ろバレるだろう。何処までこの私をコケにするつもりだお偉いさん方は。
……まぁいい、後で後悔させてやる。
「(……嗚呼、その眼だ。その闘志に燃えたぎる眼こそが数多の刀剣を惹きつける。…そして俺も…)」
「…………長義さん?」
じっと見られていたことに気付いた私は考え事をしている長義さんに声を掛けた。この
「…それで、こんのすけ様。他にもありますよね?」
「あ、は、はい、こちらに御座います…」
控えめに返事をすると前足でチリン、と鈴を鳴らし、
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作者名:伏見桜 | 作成日時:2021年5月3日 3時