検索窓
今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:823 hit

相棒 ページ3

「はぁ……」

「やぁ、浮かない顔だね。A。あぁ、もう主と呼ぶべきかな?」


上司の部屋から出てきた私を爽やかに笑いながら出迎えて来たのは昼頃に仮眠から起きてきた長義であった。
目の下の隈さえなければ青春系のコマーシャルに出れるぞ、お前。


「はいはい、ドーモ長義さん。私はまだ審神者では無いのでその呼び方はおやめ下さい。」

「なんだ、乗ってくれないんだね。」

「どれだけ疲れていてもその手には乗りません」

「六徹目なら頷いてくれると思ったのに。まぁこれから主になるから関係ないか」


…そう、この山姥切長義、ことある事に私の刀になろうとしてくるのだ。何故か。
確かに私は普通の審神者よりも霊力量は多く、ほかの技術に流用が可能でその操作にも長けている。
だから政府にいる刀剣に主になってくれと熱烈なプロポーズを頂くが丁重に断らせていただいている。


「A様!」


ぽん、と軽い音がし、何よりも聞き慣れたその声に私は少し遠い目になった。


「…なんですかこんのすけ様」

「只今よりA様の本丸へご案内をと…」


…………私はそんなに酷い顔をしていただろうか。
こんのすけ様に震えられながら手荷物を素早くまとめ、同僚達に謎の祝いを貰って本丸へ飛ぶ。


「…此処が?」

「……その、はい、そうですね…」

「ふむ、これは…」


本丸に着いた、着いたのだが…。
これはどう見ても…


「「屋敷」」

「……嗚呼、長義さんもそう思います?」

「奇遇だね、俺とそう思うよ」


本丸と言うには小さく、一軒家と言うには大きすぎる。……なんとも言えない、昔のちょっと大きな御屋敷みたいなものだった。…全く、私は審神者にはなれずに政府職員として働いてるからバレないとでも思ったのか。寧ろバレるだろう。何処までこの私をコケにするつもりだお偉いさん方は。

……まぁいい、後で後悔させてやる。


「(……嗚呼、その眼だ。その闘志に燃えたぎる眼こそが数多の刀剣を惹きつける。…そして俺も…)」

「…………長義さん?」


じっと見られていたことに気付いた私は考え事をしている長義さんに声を掛けた。この(ひと)は考え事をすると直ぐに思考の海に落ちるのだから良くない。


「…それで、こんのすけ様。他にもありますよね?」

「あ、は、はい、こちらに御座います…」


控えめに返事をすると前足でチリン、と鈴を鳴らし、屋敷(本丸)の壁に指令書を投影した。

第一の指令→←上司の話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:伏見桜 | 作成日時:2021年5月3日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。