【d!】戦記

後日談 ページ42

個人的に気に入った人のお話を続きで書きます。
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tn

「A？？分かっとるやろうな？？」
「分かってます分かってますほらくれてやるよぉ！！！！」

貴女自身も気に入っている卵焼きを渋々幼馴染の弁当箱の蓋に乗せる。貴女の作るそれが大の好物な彼の瞳は、心成しかいつもより輝いて見えた。
彼は箸で慎重にそれを摘み、口に運ぶと味わうようにゆっくりと頰を上下させる。やがてその頰の動きが止まり、嬉しそうに綻ぶ。

「……ん、うま。ほんまに、なんでAの卵焼きはこんな甘さの調節が効いとるん？」
「わーい。でも私はトンちの出汁巻卵も好きよ、なんか懐かしい味」

じゃあ明日はトンちが作ってきてね、だなんてちゃっかり予約する彼女が愛しくて堪らない。


ut

「だーかーら、何回言ったら分かるんですかねぇ！！！イエス美少女ノータッチ！！これ世界の理だから！！」
「オーケーよーーく分かったからまじでトンちにテレフォンだけは勘弁して下せぇA様様ぁ……。」

街中で堂々と軟派をかます幼馴染を引き摺り、人気のない公園で叱咤する貴女。なお完全なる私怨なのは考えものだが。
いつもは物静かで大人しい、纏め役のような貴女のこんな表情を見れるのは幼馴染の特権だ、なんて彼は呑気に考える。

「ちょっと、聞いてる？」
「はいはい聞いてますーー！！」

当人としては嫉妬して欲しい、なんて無意識にやってしまっているのだが、貴女にそれが伝わるのは一体何年後の事やら。



sha

「マジでなんでAにだけは勝てへんの…？俺結構このゲーム自信あってんけど」
「ふーんプロ結果！！まぁAちゃんに掛かればこんなもんよ！」

こんな事を言っているが、貴女は幼馴染の彼に決して負けない為に徹夜でこのゲームを極めていたりするのである。その証拠に貴女の目元には薄っすらと青白い隈が。
それに気付かない幼馴染の彼も彼だが、こちらもまた貴女に負けないように必死。だがどうしても敵わない為、二重の意味で俺勝機あるんかな、とか考えてたりするのだ。

「まーたジュース奢りなん？」
「そうやねぇ、まぁ負けたんはシャオやし♡」

コントローラーを放り投げた彼は冷蔵庫へ。態々買いに行く必要は無い、いつだって常備してある貴女の昔から好きな飲み物を手に彼は貴女に勝負を挑むのだ。


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