憎き“元”ＦＢＩの女【降谷零】 (ページ6)

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4話ページ6

降谷side

半信半疑のまま、恐る恐る東翔(仮)に近付く。

近付いて思った事。

…何やってんだこいつ。

トランプをくみだしたかと思えば並べて。

時折デスクの端にある紙に何かを書いて。

それを繰り返している。

何か、といえばトランプをくむ時の動きが妙に手慣れているとか。

並べ方が綺麗、とか。

ほんとそれ位。

おい、ほんとこいつ何やってんだよ。

「おい、お前何やってる」

見るに見かねて、話し掛けると、
「マジックの練習ですぅ」
と、気抜けた返事が聞こえてきた。

マ、マジック…！？

仕事中に聞かない、否、
聞こえてくる筈がないワードが耳に入り、一瞬固まる。

「おい、仕事は」

当初の目的、
[こいつが誰か確かめる]
これを完全に忘れ、ただ単に仕事中に私情を持ち込む部下に注意をする。

「えっとですね、…あ、ここで入れ替えたらＡが上になるのか…」

会話の途中で思いっきり話が逸れ、こめかみにピキ、と筋が入る。

周りの部下達がヒイッと声を漏らすのが聞こえたが、そんなの日常茶飯事。

腕を組み未だにトランプと向き合う女を睨み付けた。