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”日本” ページ9

「有希子! 日本(ひのもと)君はまだ来ていないよね?」
「工藤先生、お邪魔していますよ」
「うわっ! もう着いていたのか! は、速いな」


ウィスキートリオさん達と出会った夜から半年が過ぎ、私は日本に飛んで活動を開始していた。

とは言え、治安が良く警備の行き届いているこの国では【表向きの顔】というものが不可欠。
ということで、“黒の組織”のとある人物の口利きで藤峰有希子こと工藤有希子を介し、工藤優作付きの秘書 日本(ひのもと) A として肩書きを作り出した。

正直、日本などという名前に二言三言申したいところではあるが、今回の偽装戸籍は以前の取引で色々あった時にFBIに作成してもらったものを使っているので、名前のセンスが云々等と言えばすぐ銃で撃ち殺されそうだ。



「日本君!あぁ、そ、それ書き上げた原稿だよ。週間Beikaの佐々木さんが取りに来たらまわしてくれ」

無精髭もそのままに万年筆を手にして動揺する男性。
彼こそが世界的ミステリー作家、工藤優作である!
…といっても、この姿で信じる人物はなかなか少ないだろう。

私は机上に散らばった原稿用紙を集めてトントン、と角を揃え、封筒に入れた。

「分かりました、お預かりします。それから、伸ばしに伸ばしきった東都出版に出す最終原稿と英フォニックス社の祝辞披露文は……?」

笑顔で凄みをきかせると、工藤先生はハハハ…と苦笑いを浮かべた。

「今!今やってるから!ね! 4時までには上げるよ。君は有希子とお茶でもしていてくれ。ゆ有希子ぉー!有希子!」

肩に手を置かれて説得されたかと思えば、くるりと方向を変えられて、入口に向かって背中を押される。

「はいはい、なぁに?そんなに大声で叫ばなくても聞こえてるわよ優ちゃん」

そこへひょっこりと有希子さんが顔を出した。

「有希子、日本君にお茶でもご馳走して差し上げなさい」

私を部屋の外まで追いやると、バタン!と書斎の戸を閉められてしまった。

疑いの目→←Nice to meet you.



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よしのん - すごい好きです。応援してます! (2022年4月19日 12時) (レス) @page32 id: e3b8c03485 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます!! (2022年4月18日 19時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいすな - 夢主のキャラ大好きです。新人との関係気になります! (2019年2月16日 22時) (レス) id: a004368014 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者A | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/zero1632  
作成日時:2018年12月26日 7時

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