私の引っ越し大作戦 ページ36
「え、荷物、これだけ……?」
「はい。これが全所有物です」
車から荷物を下ろすのを手伝ってくれたスコッチが唖然としている。
あの地下の訓練から3日後の夜。
実際にセーフハウスに引っ越してきた。
引越しといっても、車ひとつ、スーツケースひとつ、小型のデスクトップPCとモニターの入った重い紙袋ひとつ、体ひとつ、だけ。
「ラムにもベルモットにもジンにも話は通したし、心置きなくここに住めるというものですよ。あ、これ預かってきた合鍵です」
ガレージまで降りて迎えに来てくれたスコッチとバーボンにそれぞれ渡した。
改めて広いガレージを見わたす。
3台停められるビルトインタイプで、ガレージの奥に家の玄関の扉があるらしい。一応少し都心から外れた住宅地とはいえ、新宿や東都までは車で15分あればついてしまう好立地、元は金持ちの家だったのかもしれない。
ガレージの中には黒のシボレーと白いRX-7が隣同士で並んでいる。車高の高さといい色といい、ちぐはぐさが持ち主の関係を表しているようだ。
高級車たちと私の乗ってきた中古コンパクトカーが並んでいるのもまたそぐわなくて面白い光景になっている
「なかなか広いですよね。玄関はこっちです」
「荷物持つよ」
「ありがとうございます」
2人に紙袋とスーツケースを任せて、後についていく。
「スコッチは自分の車は持たないんですか?」
「車あんまり興味ないんだよね。何かあればバーボンが乗せてくれるし、組織の車も借りられるしさ」
「そうなんですか。てっきり仲良しだから車好きも一緒なのかと」
「仲がいいから全てが同じというわけではありませんよ。それに僕は車好きというわけではないですしね」
そう言いながらバーボンが開けた玄関のドアには、鍵穴と一緒に指紋認証システムがついていた。
後でセキュリティシステムに入り込んで指紋が無い人間でも開けられるように書き換えておかねば。
中に入ると、広めの玄関に直結してすぐにリビングダイニングと思われる場所があった。
仕切りのない大きな空間は、ガレージと同じコンクリート打ちっぱなしの壁。お洒落な釣り照明があり、無機質な黒で統一されている。
左には使い勝手の良さそうな整頓されたキッチンとカウンター。壁面には酒の瓶がバーのようにずらりと並べられている。
男だけで暮らしてるって聞いていたから、もっと雑多でむさい男子寮みたいなものを想像していたが、その何倍も綺麗だ。
先程のスコッチのように唖然としてしまった。
290人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よしのん - すごい好きです。応援してます! (2022年4月19日 12時) (レス) @page32 id: e3b8c03485 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです!続き待ってます!! (2022年4月18日 19時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいすな - 夢主のキャラ大好きです。新人との関係気になります! (2019年2月16日 22時) (レス) id: a004368014 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:作者A | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/zero1632
作成日時:2018年12月26日 7時