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久々の背中 ページ33

ドン

チャリ

鉄扉の向こうから聞こえてくるライフルの低い銃声と、薬莢が落ちる軽い音。

ドアを開けると、M4を抱えた3人が同じタイミングで振り返った。

「久しぶりですね。あ、どうぞ練習を続けてください」

3人の後方にある朽ちかけた机に腰掛け、久々の3人の背中を見る。最初に口を開いたのは、あまり久々ではない男だった。

「組織に介入しないんじゃなかったんですか?」

的から目を離さずこちらに質問するバーボン。

「介入はしません。今回のこれは、仕事としてお偉いさんからのオファーを受けたまでです」

「仕事として、か。じゃあ、夜伽の技も俺たちに仕込むのか?“仕事として”」

薄笑い、耳当てを外しながらライがこちらを振り向いた。

「えぇ、お望みなら」
「フ、そいつは楽しみだな」

そう言うと的に向き直り、放った一発は的紙のど真ん中を仕留めた。
全く、この人はいつもこうだ。体格はしっかりしてるくせに、発言が男子中学生のソレとなんら変わらない。

「組織は貴方たちに技術を教えることを期待してますが、正直なところ、特に目立ったものは持ち合わせてないので、何を教えたらいいのかさっぱり」

「そもそも貴女のようなか細い腕で銃なんて握れるんですか?」
ドン、カラン
バン、チャリ

言葉と共にバーボンが一発放ち、こちらもど真ん中を射抜いた。
続いて終始無言のスコッチも撃つ。結果は言わずもがな。

「女を道具にしてるとはいえ、女だからなめられるのは気分が悪いですね」

奥の壁に掛かっているアサルトライフルを取り一度射撃台の上に静置する。
一呼吸置いて一気に弾をこめ、装填して発砲。3回繰り返した。

「おわ……」

薬莢が落ちる音が響き終わらぬうちに、スコッチが感嘆を漏らすのが聞こえた。

「M4は小銃より反動が小さい。指南書通りの肩や頬をしっかりつけ握り込む狙撃姿勢でなくても、体幹がブレなければ片手で撃っても問題ないくらいです。脇を軽く開けて少し柔らかく持った方が扱い易いと思います。よ、バーボン?」

なめた発言の仕返しに、しっかりと先ほどのフォームを指摘すると、バーボンは少し悔しそうな表情をしてまた的に向かった。
しかしさすが、吸収が早い。銃身もさっきより下がっているし、無駄な力がこもっていない良いフォームになっている

ドン、カランカラン

弾はブレずにしっかり的な中心を捉えた。

教えるというのがこういう事を言うのなら、私は案外得意なのかもしれない。

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よしのん - すごい好きです。応援してます! (2022年4月19日 12時) (レス) @page32 id: e3b8c03485 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます!! (2022年4月18日 19時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいすな - 夢主のキャラ大好きです。新人との関係気になります! (2019年2月16日 22時) (レス) id: a004368014 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者A | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/zero1632  
作成日時:2018年12月26日 7時

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