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宣戦布告 ページ26

秘書用のオフィススタイルに着替えたところで、2人で台所に並び、新一くんがお皿を拭いて、私が食器棚にそれをしまう。

「なぁ、父さんと母さんがロスに移るって話聞いてるか」

最後のお皿を渡されるのと同時に、突然問われた。

「え、ロサンゼルスに?一家で?」
「いや、俺は残る。」
「そうなの?全く聞いてないけど…いつ?」
「ひと月かふた月後らしい。母さんの急き癖でビザはもう取っちまったらしいけど、中身はまだ何も決まってねーみたいだぜ」
「へぇ。なんで急にまた…」

食器棚を閉じ、新一くんから受け取った布巾を洗濯機に放る。

「その話も聞きたいし、一緒に工藤邸まで行こう」
「おう」

再び2人で玄関を出る頃には、新一くんが家に入ってから2時間が過ぎる頃だった。

「新一くん一人で日本で暮らすこと、よくご両親が許可したね。また何でそんな決断を?」

気持ちの良い天気の中、2人工藤家への道をややゆっくりとしたペースで歩む。

「まぁ、この時期に高校を変えるのも面倒だし、海外は住むには不便なことも多いからな。
でも一番の理由は、探偵がやりたいからさ。」

「そんな事言って、本当はガールフレンドの蘭ちゃんと離れたく無いのが1番の理由なんじゃないの?」

「ばっ、そ、んなわけ!!お、俺はほんとに探偵をだな…」

図星のようだ。
しりすぼみになりながら反論する新一くん。
青春だなぁ、なんてしみじみ考えていると、少し前を歩いていた突然新一くんが立ち止まった。
それに合わせて歩みを止めると、新一くんがこちらに向き直る。

「これは本気な話だ。俺はあんたの正体も、あんたの目的も全部暴いてみせる。そのためにも日本に残る必要があるんだ。」

しっかりとした口調。
新一くんの茶色がかった綺麗な瞳もブレずにこちらを捉えて動かない。

「アンタは俺の目下最大の謎なんだ。
今日、こうやって家まで行ったってのに、アンタについて何かわかるどころか、ますます分からなくなっちまった。
まだ俺には探偵としての実力も経験も足りねぇ。
目の前に解きたい謎があるのにその謎に触れる方法すら分からねぇ。
しかも、当のアンタに至っては、俺が正体を解き明かすのを楽しみにしているかの様な口振りだ。」

一瞬その瞳が揺らいだ。

「アンタが本当に悪人じゃないって解明できるまで俺は日本を離れねえ。これは宣戦布告だ」

睨みつけるかのようにこちらをまっすぐ見て言い放つ。


「楽しみにしてるよ」

複雑な気持ちでにこりと笑った。

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よしのん - すごい好きです。応援してます! (2022年4月19日 12時) (レス) @page32 id: e3b8c03485 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます!! (2022年4月18日 19時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいすな - 夢主のキャラ大好きです。新人との関係気になります! (2019年2月16日 22時) (レス) id: a004368014 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者A | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/zero1632  
作成日時:2018年12月26日 7時

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