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銀髪 ページ17

その日の夜、テレビ局での軽い打ち合わせの仕事を終え、着替えて向かったのはとあるバーだった。

「そろそろ何の要件か話してくれない?依頼されてる件もないし、仕事内容はいつも電話のくせに。なんで呼び出したの?」

バーカウンターの隣で無表情に煙草を吸う銀髪に皮肉な声をかけると、まだ随分残っているそれをぐりぐりと灰皿に押し付けた。

「お前、最近ヤツから仕事を受けただろ」
「ヤツ?ベルモットの事?」

返事はないが、彼の無言は肯定の意だ。

「潜入の依頼受けたけど。何か?」
「その時、バーボンと一緒だったんだろう」
「えぇ。貴方から紹介されたバーボンと」

ジンが懐からシガレットケースを取り出したので、カバンからジッポライターを出す。
ジンが口にくわえた煙草に火をつけた。

「で?何が言いたいの?」

ジンが口から煙を吐き切ったあと、口を開いた。

「あの人からのお達しだ。お前をあの3人と一緒にある組織調査に当たらせる。どうもベルモットが口を利いたらしい。」

「は?嫌よ、新人教育なんて。私が組織に介入することは無いって言ってるでしょ?たとえあなた方のボスの命令でもね」

ジンの言葉にすかさずそう言って、手元のカクテルに口をつけた。

「あぁ。だから、今回は仕事の依頼だ」
「はぁ……狡い。割のいい仕事なら私も断れないって知っててこういう事する」

「長期の依頼だ。この組織についてあの3人と調べろ。敵対組織だった場合は潰せ。報酬は手付が五、情報で十、実行が入れば十五。」

す、と机の上を滑ってきた封筒を開けると、色々な資料が中に入っていた。

提示されたのは、しめて3億ドル。日本円にすると320億円程度

「これって情報屋の仕事から逸脱してるわ。それにしてもずいぶん羽振りがいいのね。それで破産しないの?」
「これくらいしねぇと乗らねえだろ。どうする?」
「はぁ…お仕事ならやらせていただきますよ。ジンさん」
「気持ちわりぃ。やめろ。」

さっきの露骨な態度とは裏腹に微笑んで彼の腕に抱き着くが、拒否の意で強めに叩かれる。

名刺の裏に口座番号を書き、ジンに手渡した。
番号に『Love, Adler,,』(愛をこめて。アドラーより…)と添えておくと、案の定舌打ちが返ってきた。

「そういえば、最近いつも一緒の彼今日は居ないのね。今夜は外泊なの?」

また返事はなく、舌打ちだけが返ってくる。

「…ジンって意外とそういう所あるわよね」

緩く笑ってカクテルグラスを揺らした。

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よしのん - すごい好きです。応援してます! (2022年4月19日 12時) (レス) @page32 id: e3b8c03485 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます!! (2022年4月18日 19時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいすな - 夢主のキャラ大好きです。新人との関係気になります! (2019年2月16日 22時) (レス) id: a004368014 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者A | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/zero1632  
作成日時:2018年12月26日 7時

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