449話 ページ50
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「おかえり、クロセ。ボクの言ったように上手く出来た?」
『…ええ。言われたとおり脚を開いて、ちょっと触らせたら、簡単に吐いてくれましたよ』
「イイ子だね。さすがボクのクロセだ」
そう言って嗤う薄水色髪の男は、欲 情の篭った瞳で俺を見つめる。
「ほら、おいで。消毒してあげる」
任務で体を使ったその日はいつも、この男によって消毒という名の陵辱をされる。
信用されるために、俺はいつだって耐えていた。
この男は、出会った当初から俺に執着していて、体を使うハニートラップも彼から教わったもの。
組織の中で、俺はこの男の飼い犬だった。
それすらも受け入れて、俺は確かな地位についたのだ。
俺を生かし、俺を殺した、絶対的存在。
「アイしてるよ、クロセ」
偽りのない、歪んだ愛の言葉。
何度も何度も囁かれ、俺を縛り付けた言葉。
それでも、守るべきものがあったから、その屈辱にも耐えられた。
もう会うことはない。
俺はこの男によって、心臓を撃ち抜かれた。
愛の呪いから、解放されたんだから。
「…解放?」
『え…?』
俺の上に跨る男は歪んだ笑みを浮かべて見下ろしていた。
「バカだなぁ…、ボクから逃げられるとでも、思ってるの?」
『ッ…!?か、は…っ!』
呼吸が出来ない。
俺の首を締め付ける男の手によって。
「もう一度ボクの手で…殺してアゲル…!」
『っ!!』
跳ね起きると見慣れた部屋だった。
カーテンからは陽が差し、スズメが鳴いている。
ぐっちょりと汗で濡れたシャツが気持ち悪い。
そして目の前には驚いた表情の零さん。
『は…ぁ……』
「…大丈夫か?すごく魘されていた…」
『あ、ああ…、大丈夫…』
「やっぱり何かあったんだろう?お前が魘されるときはいつもそうだ」
『…昔の夢だよ。俺のご主人の夢』
「…ご主人?」
どうして今更、夢にあいつが出てきたのか分からない。
解放されたんじゃないのか…?
俺は…。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時