448話 ページ49
「電話、終わったのか?」
『ああ、うん』
「カレーは?」
『…今はいいや。後で食べる』
零さんの視界から外れるように、ソファに寝転がった。
「誰からの連絡だ?」
『コナンくん』
赤井さんからと勘違いされて理不尽にイラつかれるのは勘弁なので正直に答える。
『ねぇ、新しい組織のメンバー、ティフィンって知ってる?』
「…ああ。まだ会ってはいないが、話だけなら。3ヶ月前くらいに組織入りして、最近コードネームを貰ったスピード出世だ、と」
『……ふぅん』
そっと、胸の銃創に服の上から触れた。
【ボクはキミをアイシテいたよ。…バイバイ、クロセ】
傷が、疼く。
部屋の明かりが眩しくて、腕で目元を多い、瞳を閉じる。
どうして今…あのときの情景が浮かぶんだ。
一つ深呼吸をすると、気配と視線を感じて目を開け、腕をよけた。
天井を背景に、零さんがソファの背凭れに肘を乗せ俺を覗き込んでいた。
イケメンのドアップは心臓に悪い。
「疲れてるのか?具合悪い?」
『…ちょっと疲れてるだけ』
「ならもう寝るといい。あまり顔色もよくない」
熱がないか、俺の額に手を当てて確認したあと、零さんは離れていく。
「お前も今日は疲れているだろう?ゆっくりお休み」
ご飯を食べてうとうとしている犬の背を撫でて零さんは微笑む。
…俺にはあんな顔しないくせに。
ソファから立ち上がり、タオルケットを持ち出して再びソファに寝転がった。
「おい、ベッドで寝ないのか?」
『今日はここで寝る』
「…さっきから何を怒ってるんだ。言ってくれなきゃ分からない」
『別に怒ってない。もう寝るから、おやすみ』
タオルケットを頭まで被って会話をシャットダウンした。
呆れたような溜息が聞こえてきたが、無視。
犬に嫉妬するなんて子供過ぎる。
居場所を取られてしまったかのような疎外感に俺はタオルケットを握り締めた。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時