404話 ゼロの執行人 ページ5
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妃法律事務所を出た俺とコナンは、その足で警視庁を訪れた。
目暮警部に情報を聞こうと、アポイントを取っていたようだ。
ビジターカードを胸につけ、エントランスで目暮警部を待つ。
「…どう思った?あの弁護士」
『…そうだね。あの口ぶりじゃ、起訴になるのを望んでいるみたいだった。嘘をついている感じもなかったし』
「…だよな。公安的配慮が働いているのも、間違いなさそうだ」
『あんだけ大規模な爆発が起きればね。上の連中はいつだって、自ら真実に辿り着こうとはしない。偽者でも犯人が捕まって、汚名返上できたらそれでいいんだよ』
そんな汚い大人たちを、何人も見てきた。
「…そんなこと、させねぇよ」
コナンが膝の上で拳を握りしめたとき、「待たせたね」と声が聞こえた。
目暮警部がこちらに来て、コナンの隣に座る。
「黒瀬くんも来たのか」
『付き添いです』
「ねぇ、目暮警部。小五郎のおじさんのパソコンが誰かに操られた可能性を調べてるんだよね」
聞いた話によると、毛利さんはかつて目暮警部の部下だったらしい。
目暮警部からしても、昔の部下の無罪を証明したいらしく、動いてくれているという。
「まあ、確かに。日下部検事に追加の捜査を頼まれてはいるんだが…」
きっと、毛利さんのパソコンに不正アクセスした痕跡は出てこない。
彼は足がつくようなことはしない。
それだけ優秀な人だから。
「言える範囲でいいから教えて?新一兄ちゃんが小五郎のおじさんを助けるためにどんな情報でもいいから欲しいって」
少しでも情報を、と粘るコナンだが、無常にもそれは遮られた。
久しぶりの気配に、俺はそちらへ視線を向けた。
「毛利先生が、どうしたって?」
俺が風見さんに渡しておいた、新しいシャツの胸元にビジターカードをつけた彼が白々しい笑みを浮かべて現れた。
「聞いてたの」
冷たい口調でコナンは安室さんを睨む。
「何を?僕は毛利先生が心配でポアロから差し入れを持ってきただけだよ」
彼の右手には大きな紙袋が握られている。
昨日俺が風見さんに預けた紙袋だ。
「ああ、毛利くんはもうここにはいないよ」
「送検されたら原則、身柄は拘置所に行く。安室さんが知らないはずないよね?」
「へぇ?そうなんだ?君は相変わらず物知りだね」
それだけ言って安室さんは俺たちに背を向けた。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時