417話 ゼロの執行人 ページ18
『…零さん、コナンくんに仕掛けてる遠隔操作アプリ、まだ抜かれてないの?』
彼はきっと、もう気づいているだろう。
すべて監視されていたことに。
「え?…ああ、まだ生きているな」
信号待ちで零さんが確認する。
『ちょっと貸して』
もし気づいていてそれをまだ抜いていないなら、コナンもおそらく、この監視を利用してくるだろう。
零さんのスマホを借りて、イヤホンを差し込む。
画面は暗いが、音声は聞こえてきた。
知らない女性の声だ。
《去年、橘先生の事務員が事件を起こしているのが分かりました》
橘弁護士の事務員が、事件を…。
彼女は、昔は事務所を持っていたということだろう。
《当時事務員だった、羽場二三一という男が、ゲーム会社に侵入し、窃盗事件を起こして逮捕されたせいで。しかも、羽場は送検されたあと、拘置所内で自 殺しています》
…羽場二三一…。
…自 殺…?
それって、もしかして……。
【君の言う、安室という男は――人殺しだ】
風見さんの言葉がフラッシュバックする。
ピースが、繋がっていくような感覚。
でも、まだ完璧じゃない。
『……88231…、そうか。そういうことか…』
「…何か分かったのか?…って聞いても、教えてくれないよな」
その言葉に、胸が痛んだ。
零さんは俺を信用して、ゼロの情報を教えてくれたのに、俺は何も言えない。
信じていないわけじゃない。
俺の言葉一つで、先の未来が歪むのが怖い。
俺がただ、臆病なだけなのだ。
『…ごめん』
謝ると、零さんは眉を下げて笑って、頭を撫でてきた。
「…そんな顔をさせたいわけじゃない。必ず真実にたどり着いてみせるさ」
そう言って笑う零さんの横顔はとても頼もしくて、ああ…やっぱりこの人が好きだな、と心から思った。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時