446話 ページ47
「こいつの意地に負けたんだ。責任持って僕が世話をするよ」
『てか、なんでこんな傷だらけなの』
朝前足を手当てしたばかりなのに、顔にまで傷がついている。
「僕の行く先々についてきて、わざと怪我をするんだ。僕の気を引くように。……なんだか僕と似ていて、放っておけなかった」
『…零さんと、似てる?』
「…僕も昔、女医さんの気を引きたくて、わざと怪我をしてその人の病院に通っていたんだよ」
『それって…好きだったの?その人の事』
「子供の頃の話さ。出会ってまもなく、その人は遠くに行ってしまったから」
零さんの、初恋なんだろうか…。
遠くに行ってしまったというのは、海外?
それとも…。
「シャワーでこいつを洗ってくるよ」
『うん』
浴室に向かう零さんを見送り、カレーを煮込む手を再開させる。
子供の頃の零さんって、結構やんちゃしてたのかな。
わざと怪我して気を引いてたって…可愛いところもあるんだな。
それにしてもあの犬…、零さんにはすごい懐いてるけど、俺には見向きもしようとしない。
動物は別に好きでも嫌いでもないが、今まで関わってこなかったからどう扱えばいいのかわからない。
零さんが責任を持って世話をする、とは言っていたけど…、公安で忙しい零さんの代わりに、結局俺も世話することになりそうだ。
子供が勝手に拾ってきたペットを結局親が世話するなんてよくあることだしな…。
「わっ、こら、暴れるな…!はは、やめろって!」
浴室から楽しそうな零さんの声が聞こえてくる。
普段疲れてる零さんのセラピーにはなるか。
アニマルセラピーってやつ。
コンロの火を弱火にして、あとは数分待つだけ。
零さんはカレーに福神漬けではなくらっきょうをつける。
それを冷蔵庫から取り出してテーブルに置いた。
「カレー、出来たのか?」
犬をタオルで拭きながら、零さんが戻ってきた。
『あと少し』
「そうか。お前にもご飯をやらないとな」
帰りにペット用品を買ってきたんだろう。
皿にざらざらとペットフードを入れると、犬は嬉しそうにくるくる回って餌を食べ始めた。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時