427話 ゼロの執行人 ページ28
「私の…、私の協力者だって…、犠牲になった」
日下部は膝から崩れ落ち項垂れた。
「羽場さんは…」
その名を出した途端、日下部は顔を上げ、目を見開く。
「やっぱり、あんたの協力者だったんだね」
「な…なぜそれを…?」
「パスコードの暗証番号だよ。珍しくて気になったんだけど、入力する音を消してなかったのは、忘れないため?羽場二三一を」
【88231】。
羽場二三一を文字ってつけられたパスコード。
「違う。こいつらへの復讐心を、肝に銘じるためだ!」
日下部は、零さんを指差した。
「公安警察の協力者は全てゼロに報告され、番号で管理される。だが、公安刑事同士は互いの協力者を知らない。まして協力者を抱えている公安検事がいたなんて、去年まで知らなかった」
「だからあの時、私の協力者を簡単に切り捨てたのか!」
『なるほど。去年羽場さんが起こしたあの窃盗事件には、裏があったんだな』
そう言うと、日下部はしまった、と動揺を見せる。
「あ、あれは…私が羽場に頼んだんだ…。NAZU不正アクセス事件の捜査のために…。そのアクセスデータが、被疑者の出入りしていたゲーム会社にあると知った羽場は、それを盗み出そうとして…。…公安の協力者は、違法で危険な調査を余儀なくされる。だからこそ、公安と協力者の関係は肉親よりも強くなる。決して金だけで繋がった関係じゃない。使命感で繋がった、まさに一心同体だ。私は彼の窃盗事件を担当する検事に全てを話した」
そのときの検事が、彼の現上司である、岩井統括。
彼女は、日下部の訴えを取り下げ、公安警察からの命令で羽場を起訴すると宣言した。
後日、公安警察に直談判しようと警視庁に向かっていたとき、羽場が公安警察からの取調べの後自 殺したと岩井統括から知らせを受けたらしい。
その悲しみと怒りの矛先は、公安警察へ向けられた。
・
1078人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時