356話 ページ7
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相変わらず美味しいバーボンのお粥を食べて、薬を飲んだ。
拘束はそのままに、俺はベッドに横たわり、寝たふりを決め込む。
背を向けた背後では、小さな机を囲んで、3人が作戦会議をしているようだ。
…零さん、大丈夫かな。
俺が急に倒れて、未来の俺は今意識をなくしているだろうから、また心配をかけてしまっているんじゃないだろうか…。
さっき、チラッと自分の体を確認したが、この体は今のものだった。
胸にはしっかり銃痕も残っていたし、昔の傷痕も残っていた。
着衣だけが、昔のものを纏っていたのはなぜなのか。
昔の雰囲気を出すための、ただのオプションなのか…。
どっちにしろ、この銃痕を見られたら、ただの一般人だとは貫けなくなる。
虐待を受けていて、家に帰りたくない青年を演じているが、年齢的にその嘘も厳しいし、ばれるのも時間の問題か…。
「だから、それは無謀です!」
バンッと机を叩く音と、バーボンの怒鳴り声が聞こえた。
「僕はもうターゲットに顔バレしてるんですよ。ハニートラップは無理です」
「てめぇにはそれしかねぇのか。上手く誘い出して始末すればいい話だろ」
「簡単に言ってくれますね。いいですよね、貴方はいつも僕がおびき出したターゲットを遠くからスコープ越しに見つめて引き金を引くだけなんですから!」
「まぁまぁ、落ち着けって2人とも!マシロが起きるだろ…!」
また喧嘩してる…。
スコッチさんも苦労してたんだなぁ…。
何か協力できればいいけど、ここででしゃばれば間違いなく怪しまれる。
「じゃあ、そこで狸寝入りしてるやつにやらせればいいだろ」
ライからまさかの飛び火。
『……!?』
驚いて、思わず肩が揺れ、手首に繋がる金属がカシャンッと音を立てる。
「…起きていたんですか」
冷たいバーボンの声と視線が、背中に突き刺さる。
自分から協力する形ではなく、無理やり協力させられる。
後者のほうが都合がいい。
意を決して、そろりと振り返った。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時