【名探偵コナン】異世界の訪問者8《男主》

376話 ページ27

「…まさか…」


零さんが、顔色を変えて目を見開く。




『そ。施設職員による、性的虐待。そこからちょっと自暴自棄になっちゃってさ。夜に施設を抜け出しては、男も女も引っ掛けてお金貰って。でも中2のとき、誘拐されて、集団レ イプされて、警察に保護されたんだ。年齢的にも、将来のこと考えなきゃって時期で…。親を殺されたときも、保護されたときも警察の世話になったから、“あ。警察官になろう”って漠然と思って。そっからすごい頑張ったの。警察学校に首席で入学して、ずっとトップを守って、キャリアで警察官になった。23歳で公安に引き抜かれて、ゼロのメンバーになって、組織に潜入。そこでまた、ハニートラップをすることになったんだけど、どうせもう穢れた体だし、国のためなら躊躇いはなかった。…ごめんね、こんな俺で』


チラリと零さんを見やるも、彼は唇を噛み締めて、どこか泣きそうな表情。




ああ、やっぱり、知りたくなかったよな…。




『…なーんて、全部嘘で――』


へらっと笑って誤魔化そうと思ったが、正面から強く抱きしめられた。




『っ…零さ…？』

「ありがとう。思い出したくもないことを話してくれて」

『…知っても、抱きしめてくれるんだ？』

「受け入れるよ、過去に何があろうと、僕が君を愛していることに変わりはない」

『…愛している、か。ふふ、こんなに嬉しいのは初めて』


零さんの背に腕を回して抱きしめ返した。




「…幼い君に一生ものの傷を残した奴らは、絶対に許さないけどな」


地の底からのような低い声にゾクッと身を震わせる。



でも…よかった。
軽蔑も、突き放されたりもしない。

穢れた俺も、愛してくれる。


零さん、俺は貴方と出会えたから死んで別の世界に来ても、あの頃みたいに自暴自棄にならずにすんでるんだよ。




俺を庇って死んだ両親や、涼への償いのために…俺は幸せになる。

零さんの隣で。




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