360話 ページ11
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「あれがターゲットです。貴方の任務は、ターゲットに接触し、情報端末を奪うこと。ライが少し離れたビルの屋上に待機しています。ターゲットの部屋で、彼を窓際に上手く誘導してください」
煌びやかなパーティー会場の端で、バーボンから任務内容を再確認させられる。
視線の先には30代ほどの背広を着た男。
ちなみに俺はバーボンから服を借り、この場に浮かない様に着替えた。
ぴっちりとした背広のせいか、首元が苦しい。
「僕のサポートはここまでです。その指輪に、盗聴器を仕込んでいます。何かあればそれで」
左手の薬指に嵌めた指輪を見つめる。
『わかりました…』
「…本当にやるんですね?途中で逃げ出す様なことがあれば、迷わず始末します。それを肝に銘じてください」
『…やります。ちゃんと成功させますよ。…貴方を裏切るようなことは、しません。今も、未来でも』
「…え?」
もしかしたら、バーボンと話せるのは、これが最後かもしれないから。
風邪はだいぶ治りかけ、免疫も戻り始めているだろう。
薬の効果が切れるのは、おそらくもうまもなく。
せめて、この任務を終えるまでは…。
『…ありがとうございました、バーボンさん。貴方に会えてよかった。それに、ライさんと、スコッチさんにも』
この言葉は、きっと指輪を通して2人にも届いているだろう。
『それじゃあ、行って来ます』
戸惑った様子のバーボンに微笑んで、俺はターゲットの元へ向かう。
途中でワインを受け取って、わざとターゲットにぶつかった。
『あっ…、し、失礼しました…』
ワインはぶつかった衝撃で俺のシャツの襟元にシミを作る。
『すみません…、かかってませんか…?』
確かめるようにターゲットの胸元に触れる。
「…ああ、問題ないよ。それより、君の服のほうが大変じゃないか。私の部屋に替えがある。よかったらどうかな?」
…釣れた。
心の中でほくそ笑みながら、まだだ…と引く演技を。
『そんな、悪いです…。ぶつかったのは僕のほうなのに…』
「構わんよ。さぁ、おいで」
腰を抱かれ、パーティー会場を連れ出される。
どうやら俺の容姿は、ドンピシャでターゲットのお気に召したらしい。
とんとん拍子で進みすぎて不安にはなるが…、こうなったら早く端末奪って、窓際に誘導して始末してもらおう。
あまり時間もないし。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時