351話 ページ2
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目が覚めると、知らない天井が見えた。
ベッドに寝かされているようだが、マットが硬くて体が痛い。
「…目が覚めたか」
気を失う前に聞いた声がすぐ近くから聞こえた。
慌てて起き上がろうとしたが、体がだるくて言うことを聞いてくれない。
「無理しないほうがいい。だいぶ熱が高い」
そう言いながら、男は冷たいタオルを俺の額に当ててくれた。
痛む頭を抑えようと、右手を動かすと、手首に違和感と金属の音。
視線をゆるりと動かすと、右手首には手錠がつけられ、ベッドに繋がっていた。
「すまないが、拘束させてもらってる。君が何者か、まだ判断できていないからな」
『…どうして。…ここ、セーフハウスだろ…。知らない人間をこんなところに上げて、挙句看病なんて…』
「目の前で倒れられて、放っておくわけにもいかなかったからな。それと、君の持ち物は全部預からせて貰ってる」
持ち物…?
俺、何を持っていたんだ。
「これ、君の?」
男が差し出したのは、懐かしい拳銃。
組織時代、俺が使っていた自動拳銃、シグザウエルP230。
「一般人が持つものじゃないと思うんだけど、君、何者?新入りが入る話は聞いてないし、それに…さっき俺の名前、知ってたよな」
やっぱり、この人は……スコッチさん。
じゃあここは…名探偵コナンの世界のままだけど、過去、ということか。
とりあえず…このまま疑われたら侵入者として消される。
スコッチさんがまだ生きている時代ということは、バーボンやライもここにいる。
日本の公安警察だと話しても、この世界の警察じゃない。
バーボンとスコッチさんに話したところで、ますます疑われるだけ。
過去の零さんは、まだ俺のことを毛ほども知らない。
少しでも間違えれば容赦なく殺される。
よくて警察に保護されるコースだが、銃刀法違反で捕まる可能性も高い。
さて…どうする…。
ここで起こったことが、未来に影響する可能性もないとは言えない。
おそらくこの状況は、灰原から貰ったあの薬が引き起こしたもの。
夢にしては、体調の悪さが生々しいし、何より頭が痛い。
精神だけが、過去の世界に飛ばされた、とでも考えるべきか。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時