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363話 ページ14

「…満喫できたか?この世界は」

『ああ。まさかこんな日が来るとは思ってなかったから』



隣に並んだスコッチさんを見ることなく、夕陽を眺めながら話す。




「俺もまさか、未来人と会えるなんて思ってなかったよ。……嫌な役回りをさせて、悪かったな」

『いや…、久しぶりだったけど、慣れてるからさ。時にはこういう仕事も重要だって、分かってる。この国を…日本を守るためには…正義を貫くためには、何かを犠牲にしなければならないときがある』

「…はは、そっくりだな、ゼロと」


そう言ったあと、少しの沈黙。




「…さっき、奴を撃つ直前に言ったの、あいつのことか?」



【俺の体を触っていいのは、今はもう、あの人だけなんだよ】



『…さあね』



零さんのためにも、そこはぼかしておいたほうがいいだろう。



「俺は、あいつが幸せならそれでいいんだ」

『…優しい幼馴染を持って、きっと零さんも幸せだよ』


頭がぼぅっとしてきた。




「お前、体が…」


驚いたようにスコッチさんが俺を見つめている。

自分の掌を見ると、透けていた。




『ああ、もう時間か。…ありがとう、スコッチさん』

「……景光」

『え?』

「諸伏景光っていうんだ。あいつには、ヒロって呼ばれてた」

『…そっか。…ありがとう、景光さん。…この時代の零さんのことは、任せたよ』

「あいつさ、割と寂しがり屋で脆いから…しっかり支えてやってくれよ」

『…よく、知ってるよ』





本当は、言いたい。

ライはFBIの人間だから、バレても大丈夫。
屋上を登ってくる足音は、零さんのものだから、と。



でも、それを伝えることは物語を大きく歪めることになる。


景光さんの死は、阻止することができないこと。



これから零さんは大きく傷つき、一人の人間を憎みながら生きていくことになる。



それでも…、俺にはどうすることもできない。




「…黒瀬。お前に会えてよかった。あいつのこと、頼んだぞ」



これが本当に、最後の別れだ。

未来に、この人はいない。




『…またね、景光さん』



でも、それを悟られるわけにはいかない。


泣くのをぐっと堪えて笑顔を向けた。





彼の、綺麗な笑顔を最後に、俺の意識は途絶えたのだった。






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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時

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