350話 ページ1
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『………あ?』
目が覚めると真っ暗な路地裏にいた。
何。
どこだここ…。
くらっと眩暈のする頭を抑えながらも立ち上がる。
まさか、元の世界に戻った?
それとも別の世界に来た?
『…この格好……』
自身の服装を見て、目を見張る。
黒のズボンに黒のシャツ。
そして黒の皮手袋。
これは俺がかつての世界で、クロセとして組織潜入のときによく着ていた服装。
一体、何がどうなって…?
「おいお前、こんなところで何してる」
「見ない顔だな。まさか組織のこと嗅ぎまわってんのか?」
2人組みの男に声をかけられた。
組織…?
俺が潜入していた組織か?
じゃあここは、俺のいた世界で、さらに過去に遡っている…?
それともただの、夢?
「何突っ立ってやがる。……あ?なんだお前、可愛い顔してんじゃねぇか」
「ふはっ、ほんとだ。殺すにはもったいねぇな」
…ああ、久しぶりだな、この感じ。
近づいてくる2人に抵抗しようとするが、熱に浮かされた体はふらりと眩暈をもたらすばかりで言うことを聞かない。
今はもう、零さん以外に体を許すわけにはいかない。
「おい、何してる」
男達の後ろからかかった声に、伸ばされかけた手がびくりと止まった。
「お前たち、見た顔だな。まだコードネームもない下っ端の連中が、勝手な行動するなよ」
現れた一人の男の顔を見た2人は、まずい、という表情をして、慌ててその場を去っていった。
「…すまなかったな、うちの連中が。怪我はないか?」
『……え』
こちらに近づいてくる男の顔が月明かりに照らされる。
どうして…ここに…、だって、貴方はもう……。
「でも、こんな遅くにここら辺を歩くのは危ない。怖い思いしたくなければ早く帰ったほうがいい」
『…すこ…っち、さ……』
か細い声が熱い吐息と共に口から漏れた。
「え」
その小さな声が届いたのか、彼は目を見開いて俺を見つめる。
こうして対面するのは、初めてのはずなのに…どこかで、会ったことある…?
【降谷のこと、頼んだぞ】
いつか、どこかで聞いた記憶のある優しい声がリフレインした。
「っ!?おい…!」
ふらりと視界が歪み、俺は再び意識を飛ばした。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時