【名探偵コナン】異世界の訪問者7《男主》

329話 ページ30

「いいかてめぇら！てめぇらは人質だ！余計なことはするなよ！」


威嚇のためか、銃を天井へ構えて発砲した、リーダー格と思われる男。



どうやら銃は本物らしい。
フロアに悲鳴が響き渡る。


人質は、ざっと見て300人近い。


誰一人無傷で解放するには、どうしたらいい…？

今の俺に出来ることは……。



『あの…すみません…』


立ち上がって、近くの武装した男に声をかけた。



「あ？なんだ」

『ずっと我慢してて…その、トイレに…』

「まだ我慢しろ。動くな」

『お願いします…、いかせて、ください…』


恥ずかしがって(もちろん演技)、上目遣いに。




「っ……、しょ、しょうがねぇな…。ボス」


男が、リーダー格の男の指示を仰ぐ。

リーダーは俺を見て、下卑た笑みを浮かべた。



「ふん、遊びすぎるなよ」

「ほら、行くぞ」


どうやら上手くかかってくれたようだ。


強引に手を引かれ、座る人達を掻き分けて連れ出される。



その途中、少年探偵団のみんなが心配そうに見つめていたので、問題ないという意味をこめて一つウィンクを残した。



・



少し歩くと、他の客がいない場所にやってきた。

トイレの中に、押し込まれる。



「ほら、さっさと入れ。ひひ、少し楽しんでいこうぜ？」



厭らしい笑みを浮かべながら、ベルトに手をかけた男。



隙を狙い、男の顔面に一発。
そのまま頭を狙って回し蹴りをすると、すぐに沈んだ。



『ふぅ…』


さて、と。
リーダーは、俺とこの男がトイレでお楽しみ中だと思っているだろうから、しばらく戻らなくても怪しまれはしないだろう。




『コナンくん、そっちの調子はどう？』

《まだ見つかんねー…。人目につかない、裏口にあると思ったんだが…》


確かに、裏口にも防犯カメラは設置しているし、人目につかないから隠すには最適だ。




《それにしても…、ほんと、オメーが味方でよかったぜ》

『敵だったら、俺のハニトラに引っかかってたって？』

《ハニトラ以前の問題だよ。さすが、あの人の隣に並ぶだけはある》




さっきから外でパトカーのサイレンの音もしてるし、現場にはいなくても、彼もどこかで動いてくれているはず。



警察が犯人組織の要求を呑むのか俺には分からないが、人質は全員無事に帰さなければ。


『俺はこれから、ここのデパートの防犯室を制圧する。灰原さんから通信で、あっちに動きがあったら俺にも伝えて』

《わかった。無理すんなよ》

『そっちも』




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