302話 謎解きは喫茶ポアロで ページ3
やはり安斉さんと山下さんは、ただの幼馴染ではなさそうだ。
誰かを守るため…、誰か、とは、山下さんの彼氏である大積さんのこと…?
それとも…他に…。
「こほん…」
思考を遮るように響いた咳払い。
その方向に目を向けると、和田という男だった。
「“秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ”」
…百人一首…?
平安時代終わりの歌人、左京大夫顕輔が詠んだ句だ。
その句の意味を理解して、3人の探偵と俺はハッと息を呑んだ。
…なるほど、そういうことか…!
「秋風に…」
服部がさっきの句を反芻し始め、注目が集まる。
「秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ…。左京大夫顕輔が詠った和歌で、秋風に吹かれた雲の切れ間から漏れて見えるお月さんはめっちゃ綺麗やなぁっちゅう意味なんやけど、犯人も切れ間から見てたんや。誰がどこに座ってるんかを」
服部が推理を披露している後ろで、和田がスマホを掲げているのが気になった。
コナンも気づいたようだ。
おそらくそのスマホは通話中になっていて、まるで服部の推理を誰かに聞かせているようだ。
「せやろ?1人でトイレに篭って小窓からこそこそ覗いてた、大積明輔さん。あんたに聞いてんねや」
名指しされ、本人も、周りの人達も動揺している。
「な、何言ってんだ。さっきも言ったろ?あの小窓はすりガラスになってて…!」
「ねぇ梓さん。セロハンテープあった?」
大積さんの言葉を遮って、コナンが無邪気に梓さんに声をかける。
その瞬間、大積さんの表情が焦りに変わったのを見逃さなかった。
安室さんのエプロンの裾をくいっと引っ張り、アイコンタクト。
やはり彼もすべてのトリックが分かっていたようで、ひとつ頷いた。
「ええ、でも何に使うの?」
「理科の先生が言ってたんだ。すりガラスのザラザラしてるほうにセロハンテープを貼ると、普通のガラスみたいになるって」
「え?そうなの?」
「とにかく、テープを貼って覗いてみてよ」
そう言って、コナンは梓さんと共にトイレの扉前に向かった。
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096 - ayumigomaさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようで嬉しいです!頑張ります!!これからもよろしくお願いします! (2019年6月7日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
ayumigoma(プロフ) - 楽しく読ませて頂いています。頑張って下さいね(〃ω〃) (2019年6月7日 0時) (レス) id: 364bfd5e94 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りりこスタイルさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただける小説を書きたいと思いますのでよろしくお願いします! (2019年6月4日 12時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - いつも楽しませてもらってます。これからも応援してます。続き楽しみです! (2019年6月3日 22時) (レス) id: b80200442e (このIDを非表示/違反報告)
096 - シズキさん» そこまで言っていただけるとは…!本当に嬉しいです!!これからも、飽きさせてしまわないよう、試行錯誤して書いていきますので、よろしくお願いします!こちらこそありがとうございます!! (2019年6月3日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年5月23日 22時