2541話 ページ42
『……そういえば、前に相談してた件だけど』
「相談？何かしてたっけ？」
『………この世界の均衡を守ろうとしてるって話』
「ああ！そんな話してたね」
…他人事だと思ってんな…。
『あれ、解決した』
「…どうすることにしたのか、聞いても？」
優しい声音で明人は俺の決意を促す。
『あまり考えないことにした。俺は俺の意志で選択して、生きていく。…もちろん、この物語の根本に関わることは黙っているけど、…ちょっとだけ自分のために生きてみる』
そう自分の決意を伝えると、明人は驚いたように目を見開き俺を見た。
「……君、本当に楓？」
そんな素っ頓狂な質問をしてくる明人。
『他に誰に見えてんだよ、老眼』
「いや、だって…、楓からそんな言葉を聞く日が来るなんて…」
『言ってんだろ。俺はもう、明人が知ってるガキの頃の俺じゃないって』
言いながら、シュークリームの箱を閉める。
それを横に置き、足元に寄ってきたハロを抱き上げて膝に乗せた。
『前は国を護るために戦ったけど、今回は身近な大事な人たちを守るために戦う』
「でも元公安として、国家の安全も気が気じゃないんじゃない？」
『そうだけど、気にしたところで今の俺じゃ何もできない。…でも、大丈夫。この国は、頼もしい人たちに護られてるから』
零さんをはじめとして、この世界で出会った多くの警察官たちに。
「…そっか。この世界で、大事にしたい人たちにたくさん出会えたんだね」
『その中には、明人も含まれてるから』
「え」
『…今度は、急にいなくなんなよ』
再会してからずっと心に秘めていた願いを伝えてみる。
すると明人は優しくフッと笑い、俺の頭を撫でた。
「楓が守ってくれるなら心強い。…だけど、僕からもお願い。僕より先に、いかないでね。もう僕に大事な子供を失わせないで」
病気で先立った、彼の本当の息子のAくんのように…。
『…なかなか死ねないな、俺も』
零さんも明人も、1人に出来ない。
いつ死んでもいいと思っていた過去の自分とは大違いだ。
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096 - ソラさん» ありがとうございます！2人のやり取りを気に入っていただけて嬉しいです！ (2月11日 19時) (
レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 明人さんと安室さんの会話が尊い！夢主の父親だと認識してる感がバシバシしててホッコリした！ (2月10日 20時) (レス) @page43 id: 4a3bab874f (このIDを非表示/違反報告)
096 - リト．さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです！これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします！！ (2月9日 19時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
リト． - とても面白くていつも見てます！これからも応援しています！！無理のない範囲で頑張って下さい！ (2月9日 2時) (レス) @page41 id: 744fa15293 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2023年12月26日 17時
