2524話 黒ずくめの謀略 ページ25
「撃たれた腕の傷はどうだ?」
再びキャメルと連絡を取り始める赤井さん。
《応急処置はしてあります。弾は貫けてるんで問題ありません。…いやぁ、この島に泳ぎ着いた時は最悪の気分でしたけど、今は潮風が気持ちいいです》
『…潮風?まさか海岸で火を焚いてんのか…!?』
《そうだが…》
後部座席から身を乗り出して問うと、何も分かっていないといった様子の回答が返ってきた。
「今すぐ火を消せ!その火は対岸から丸見えだぞ!」
《は、はい!》
赤井さんが指示を出すと、キャメルは慌てた様子で消化を始めたようだ。
「ごめん…!火のおこし方を教えた時にちゃんと忠告すればよかったね」
「気にするな。確認を怠った俺にも非はある」
…だが、ようやく逃げられたのにやつらがその火を見ていたら…。
逃げ場のない小島で、完全に袋の鼠だ。
「火の始末は済んだか?」
《はい。全て砂に埋めて、今自分は森の中に…》
「キャンプ場で見つけたというオリーブオイルは持って来たか?」
《ええ、一応…。でも、こんなもの一体何に…?》
「そいつをお前の服に染み込ませて、その辺の土を擦りつけろ」
《ええ!?せっかく乾かしたのに!?》
「スカウトスーツだ。ネイティブアメリカンが狩りをするときにやっていた知恵。自然に同化して見つかりにくくなる。寒さはボウヤが言っていたカイロで凌ぐんだな」
赤井さんの指示で服にオリーブオイルを染み込ませ始めたのか、スピーカーから液体の流れる音が響いてくる。
その最中、ハッと息を呑む音が聞こえた。
《っ、や、やつらです…!やつらが船でこの島に…!》
『やっぱり、火を見られたか』
「火を見ただけではお前がいるかどうか半信半疑のはず。今作ったスカウトスーツに身を包み、顔に泥を塗って森の中に溶け込め。夜が明け、海猿島のスタッフが来る前に、やつらは撤収する。それまで見つからなければ、お前の勝ちだ」
現在夜中の3時。
夜明けまであと3時間。
スタッフが来るのは4〜5時間後くらいだろう。
まさに命がけのかくれんぼだ。
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096 - ソラさん» ありがとうございます!2人のやり取りを気に入っていただけて嬉しいです! (2月11日 19時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 明人さんと安室さんの会話が尊い!夢主の父親だと認識してる感がバシバシしててホッコリした! (2月10日 20時) (レス) @page43 id: 4a3bab874f (このIDを非表示/違反報告)
096 - リト.さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです!これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!! (2月9日 19時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
リト. - とても面白くていつも見てます!これからも応援しています!!無理のない範囲で頑張って下さい! (2月9日 2時) (レス) @page41 id: 744fa15293 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2023年12月26日 17時