2104話 ハロウィンの花嫁 ページ5
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「渋谷駅で降ろしてくれ。あとは1人で帰るから」
薄暗い路地に入り込んだ時、松田さんが降車場所を指定した。
「悪いが送るのは駅の手前までだ」
「そういや、諸伏と同じく、お前も黒瀬も人目についちゃいけねぇ立場だったな」
松田さんが話している途中、車を停めた零さんが助手席側の窓の外を見て何かに気付く。
俺と松田さんもその視線の先を追った。
立ち並ぶ雑居ビルの前にパトカーが停まっており、警察と野次馬が数人ビルを見上げていた。
「どうやら仕事のようだな、刑事さん」
「ったく…なんて日だ」
松田さんはシートベルトを外して車を降りていく。
「僕たちも行こう」
『うん』
すぐ横のパーキングに車を停め、俺と零さんもビルへと向かった。
「何があった」
ちょうど松田さんが現場にいた警察官に警察手帳を見せ、話を聞いているところだった。
「廃ビルの中に誰かが忍び込んで暴れてるみたいでして…」
「分かった。俺たちが様子を見てくる」
「ヒロと班長も応援に呼ぶよ」
零さんはすぐにスマホで連絡を取り出した。
「黒瀬。どうだ?」
零さんが電話をしている横で、松田さんが主語もなく聞いてくる。
『どうって…?』
「気配探るの、得意だったろ?中に何人いるかとか、分かんねぇか?」
『え…あ、ああ』
そういうことか、と廃ビルに意識を集中させるが、夢の中だからなのか気配は上手く読み取れなかった。
『……ダメだ。上手く読めない』
「調子悪いのか?無理すんなよ」
特に咎めるわけでもなく、松田さんは優しい言葉をかけてくれる。
黒いスーツでサングラス姿の近寄りがたい雰囲気だが、やはり根は優しい人だ。
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096 - りりこスタイルさん» ありがとうございます!ハロ嫁編も楽しんでいただけると嬉しいです!頑張ります! (2023年1月21日 14時) (レス) id: e1a95a9e3f (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - ハロ嫁始まりましたね。楽しみにしてました!黒瀬くんがどう入るのか!楽しみにしてます。頑張ってください!! (2023年1月21日 10時) (レス) @page20 id: 73af74b72d (このIDを非表示/違反報告)
096 - フウマさん» ありがとうございます!黒瀬を加えたハロ嫁編、どうぞお楽しみください!更新頑張ります! (2023年1月19日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
フウマ(プロフ) - ハロ嫁編、映画を2回見に行って犯人、わかっているのですが、それでもワクワクしちゃいます!更新頑張ってください! (2023年1月18日 23時) (レス) @page18 id: 7ebf4026aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - ちるちるさん» 5回目!!?ありがとうございます!!そんなに読んでいただけるなんてとても嬉しいです!ハロ嫁編も楽しんで頂けるよう頑張ります! (2023年1月17日 13時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2023年1月1日 22時