2121話 ハロウィンの花嫁 ページ22
『この場所を俺に教えて自由に出入りできるようにしたのはなんで?』
《“俺の知らないところで死なないで。死ぬなら、俺の目の前で死んで”。その約束を果たそうとしたまでだ》
京都に旅行したときにした約束。
その約束をこんな形で果たそうとするなんて…。
『…ほんと、性格悪い』
振り絞った声が届いたのか、零さんは眉を下げて笑った。
一度唇を引き結び、零さんを見据える。
『…あの約束、今果たさせてなんてやらねぇから。…この受話器のやたら低い位置。あの子をここに連れてくる算段だろ?あの子に協力を願い出るなら、俺もいつものように力を貸す。あんたを助けるためになんだってする』
《…お前ならそう言うと思ったよ。でも今度の相手は危険だ。くれぐれも無茶はしないでほしい》
どんな状況だったかは分からないが、零さんに爆弾を取りつけた相手だ。
一筋縄ではいかない事くらい分かる。
『…相手に心当たりはあるの?』
《…ああ。3年前、1度だけ対峙した》
――…3年前。
脳裏に浮かんだのは今朝の夢。
『ペストマスクの――』
《知っているのか…!?》
俺の呟きが届いたのか、零さんは目を見開き身を乗り出した。
『……今朝、夢で見た。零さんと…、松田さん、伊達さん、景光さんが3人でペストマスクを付けた人物を追い詰める夢』
《…そうか》
やはりあれはただの夢ではなく、松田さんたちが俺に見せた、現実の過去の出来事。
《なら話は早い。ヤツの情報も上は知ってはいるんだろうが…》
零さんの口振りから察するに、情報を握っているのは上層部。
零さん自身は詳しくは知らされていないようだ。
《明日、ここにコナンくんを呼ぶ。お前も18時頃にまた来てくれ》
どれだけ猶予が残されているのか分からない状態でここを離れたくなかった。
できるなら、俺もその中に入ってもしもの時は一緒に――…。
でも、零さんはそれを許してはくれないんだろう。
『……分かった』
だから今は、大人しく従う。
きっと、コナンがどうにかしてくれるはずだ。
大切な人の生死がかかっているのに、自分1人では動く事すらできないだなんて、本当に情けない。
『…死んだら許さねぇから』
今言えるのは、これくらいの強がりだ。
《ああ。そのつもりはないよ》
その言葉に偽りは全くなく。
死ぬつもりを微塵も感じさせないその瞳に、こんな状況だというのにどこか少し安心した。
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096 - りりこスタイルさん» ありがとうございます!ハロ嫁編も楽しんでいただけると嬉しいです!頑張ります! (2023年1月21日 14時) (レス) id: e1a95a9e3f (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - ハロ嫁始まりましたね。楽しみにしてました!黒瀬くんがどう入るのか!楽しみにしてます。頑張ってください!! (2023年1月21日 10時) (レス) @page20 id: 73af74b72d (このIDを非表示/違反報告)
096 - フウマさん» ありがとうございます!黒瀬を加えたハロ嫁編、どうぞお楽しみください!更新頑張ります! (2023年1月19日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
フウマ(プロフ) - ハロ嫁編、映画を2回見に行って犯人、わかっているのですが、それでもワクワクしちゃいます!更新頑張ってください! (2023年1月18日 23時) (レス) @page18 id: 7ebf4026aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - ちるちるさん» 5回目!!?ありがとうございます!!そんなに読んでいただけるなんてとても嬉しいです!ハロ嫁編も楽しんで頂けるよう頑張ります! (2023年1月17日 13時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2023年1月1日 22時