【名探偵コナン】異世界の訪問者40《男主》

2090話 ページ41

『来なくていいって…。お茶飲むだけだし』

「僕もちょうど喉乾いてたしさ、いいじゃん」


あぁ…こうなると引かないんだよな、この人…。




『…分かったよ。でも、くれぐれも余計な言動すんなよ』

「大丈夫だよ。楓が困るようなことはしないって約束するから」


頭を撫でられ、反射的に振り払った。




『子供扱いすんなって』

「ああ、ごめんごめん。もう立派な大人だね、楓は」



…そういうのが子供扱いなんだよ。

…前の世界で明人が死んだのは、俺が高校生だったときだ。



明人の中で、俺はまだ学生のままなんだろう。






『明人さ、こっちの世界に来てから、何もなかった？』


ポアロに向かいながら、ふと思ったことを尋ねる。





「何もって？」

『…俺、たまに向こうの世界に引き戻される現象とかあるから…。未練とか、そういう関係で。メカニズムは未だに詳しく分からないけど』

「んー…僕の場合は記憶を失ってたこともあってか、そういうのは全然…」

『でも、記憶を取り戻して、いろいろ思い出しただろ？…美悠さんのこととか』


美悠さんは、明人の奥さんだ。

俺も明人の家に行ったときは食事の世話になったりした。



明人が亡くなった後も、俺をずっと気にかけてくれた。
自分が1番辛いはずなのに。


だが俺も、正式に警察官になったと報告に行ったきり、会ってはいない。





「美悠のことは気がかりではあるけど、でももう7年も経ってしまってるんだ。彼女なら、もう乗り越えてると思う」


確かに、俺が最後に会った時も彼女はもう前を向いていた。



それが強がりだったかもしれないけれど、短い付き合いでも彼女が強い人だというのは分かっている。






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