【名探偵コナン】異世界の訪問者39《男主》

2007話 緋色の弾丸 ページ8

世良は蹴りを出し、コナンは時計型麻酔銃を構えた。



だが、突然の揺れでバランスを崩し、2人は床に倒れた。


麻酔針の光が一瞬見えたが、銃口の向きを変えただけで白鳩さんを眠らせることは出来なかったようだ。






それにしても今…、モニターの隅に映っている手動のレバーが勝手に動いたように見えた。
あれは車内の中間に設置している運転室だろう。


それが自動で動かされた。





『…………』


今すぐ遠隔で援護をしている目の前の犯人を取り押さえることが出来ればいいのだが、俺の立場上してはいけないことだ。




モニターの中では突然の揺れに転倒した世良とアラン会長が頭を押さえていた。


コナンも自動で動いたレバーの存在に気付いたようだ。







《やっぱり神様は私の味方のようね…！》



白鳩さんもバランスを崩したようだが転倒はせず、壁に体を打ち付けたようだ。

額からは血が滴っている。



それでも彼女は笑いながらアラン会長に銃口を向け直した。






《You talk me the only I need to die.(殺すのは私だけでいいと言ったな？)》

《Yes! I only need kill you…!(そうよ！殺すのは貴方だけでいい！)》

《OK. Then shoot here.(分かった。それならここを撃て)》




アラン会長は自らの胸を示し、ここに撃つようにと煽っていく。




もっと高い位置から、もっと下がって…、とまるで誘導をするように。




白鳩さんもその指示に従って肩を上げて後退していく。




「“胸をめがけてもっと高い位置から撃て。例え弾丸が私を貫通しても、床に着弾する”」


探偵バッジから聞こえるアラン会長の英語を、石岡さんが翻訳する。



リニアは早く走るため、超軽量素材を使っている。

弾丸が壁や天井を貫通したら、そこから空気が漏れリニアの走行に影響が出る可能性がある。
そうなると、アラン会長だけでなく白鳩さん自身も危険に晒される。


そうならないよう、アラン会長は正確に自分の胸だけを撃ち抜く場所へ誘導している。





――と、見せかけて…きっと、もうすぐ…起死回生の一発が届く…！









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