【名探偵コナン】異世界の訪問者39《男主》

2023話 -Side風見- ページ24

警察内の名簿はともかく、戸籍自体まっさらだったのは明らかにおかしい。






考えられるのは、黒瀬Aが偽名であること。





しかし降谷さんはもうすっかり彼に心を許してしまっているし、黒瀬くんからも降谷さんを騙しているような気配は全くしない。



降谷さんは黒瀬くんのすべてを知っているんだろう。

きっと、自分が知るべき領域ではない。




それなのに、疲れのせいなのか、怒涛の仕事からの解放感なのか――…。






「黒瀬くん、よければ今から一緒に飲みにいかないか？」





そんなことを口走ってしまっていた。





降谷さんの独占欲は知っている。

そんな上司の恋人を飲みとはいえ誘うのは、さすがに命知らずだ。





「あ、いや…、すまない…。降谷さんがまだ仕事をしてるのにそんな…」

『いいですよ。行きましょうか』



慌てて訂正しようとしたが、目の前の男はあっさりと了承した。






「え…、い、いいのか…？」

『俺、風見さんと一回サシでゆっくり飲んでみたかったんですよね。あ、でも帰って寝なくて大丈夫です？』

「あ、ああ…元々、頑張った自分へのご褒美に、飲んで帰ろうと思っていたんだ」

『なら、俺奢りますよ。頑張った風見さんへのご褒美に』

「え!?いや、さすがにそれは…！むしろ、自分の方が年上なんだから、奢るなら自分が…！」

『いつもあの人が迷惑かけてるし、俺も何度も風見さんには助けられてるし、そのお礼だと思って。じゃ、行きましょ。どこかオススメの店あります？』

「…それなら――」





ここからほど近い行きつけの店に向かう途中、こうなったら少しでもこのミステリアスな男の素性を掴んでやろうと内心拳を固めた。












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